弐・最強がいなくなった世界

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『オペラ』『声楽』『オペラ歌手』『ドナウディ』『イタリア歌曲』『クラシック』『音楽家 有名』『オペラ歌手 なるには』


以上、俺の検索履歴。


「…はぁ」


何やってんだろ、馬鹿らしい。

傑との待ち合わせ場所に行く電車の中で、スマホ片手にため息をつく姿はそれなりに滑稽だと思う。


あの日から、空いている時間に何度もAAの発した単語について調べていた。
聞き馴染みのない言葉を懸命に調べて、それでもよく分からなくて首を傾げる毎日。なんだよこの界隈、信頼出来る情報少なすぎだろ。

元々、俺みたいな性格の人間には縁遠い話だ。ガキの頃にバイオリンかピアノをやるって話が出た時に家中暴れまくったし。でも、駄々こねずやっときゃ良かった。

電車を降り、駅を出て、傑が待つ場所に向かう。

その途中、女2人組が話しかけてきた。でも、売れた時の炎上対策でとにかく無視。早足で歩きスマホ。余計な関係は作らない。
高校の時は、傑と2人で少しだけ女遊びをしていた。結構やらかしても誰も俺らのことを悪く言わないから、ガキンチョながらの全能感があった。
けどそれももうやめて、ちゃんとお笑いと向き合うって傑と約束した。お互いそれは律儀に守ってる。大学のミスコンでグランプリとった女に言い寄られても振ったし。

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