No.7 ページ9
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部署に配属されてからというもの、とにかく忙しい日々を送っていた。さすがは大企業の営業である。とにかく忙しくて、毎日ヘトヘトになっていた。私たち新人が、というわけではなく、うちの部署では2人1組でペアとして動くことがほとんどで、わたしのペアはジフン課長だ。
WZ「お疲れ」
『今日もすみませんでした。着いていくのにやっとで…』
ジフン課長と一緒に動くようになって早1ヶ月。仕事の早さにはいつも驚かされ、そして力量にも学ぶことだらけだが、それと同時に自分の仕事の出来なさに落ち込むことも多い。
WZ「何言ってんだよ、まだ1ヶ月だろ。余計なこと考えなくていい。出来てるんだからそれに目を向けていればいい」
そう言って持っていた缶コーヒーを渡してくれるから、有り難くそれを受け取った。
WZ「お。チョン・ウォヌだ」
自販機の前に現れたのはウォヌで、課長の方に小さくお辞儀をしてまた視線が自販機の方へと移る。営業の帰りなのだろう、彼の御決まりでもある黒い大きなリュックを背負ったままだ。
『お疲れ様』
WN「うん、お疲れ」
相変わらず目線は合わない。とは言っても元々、前髪のせいで目を直視できることの方が少ないけれど。
WZ「お前ら…いつも気になってたけどその距離感なんなの?幼馴染じゃねぇの?」
微妙な距離感だったか、と聞かれたらそうではなく。正直なところ、私たちの距離感はいつだってこんなもんだ。ウォヌは迷うことなくコーヒーのボタンを押して、それを取りながら「いや…?」と首を傾げている。
WN「幼馴染、というか…。それはキム・ミンギュとクォン・Aです。僕は途中で引っ越したので」
淡々とそう続けるウォヌに少しだけ寂しくなった、そんな気分だった。そうなの?とでも言いたげな表情でジフン課長がこちらを見ているから2度頷く。
『確かに、10年ぐらいは会って無かったです』
WZ「ああ…、そう」
自分が振った話題でこのような空気になるなんて思ってもみなかっただろう。ジフン課長は気まずそうにコーヒーを流し込んでいた。
「……なに、ここ。なんでこんな空気淀んでんの?」
そんな雰囲気を断ち切るように現れたのは一課の部長であるチェ・スンチョル部長とジス部長だった。
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yz_dk_(プロフ) - むさん» む様 コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。いつもと比べて少しゆっくりな展開になるかもしれませんが楽しんでいただけますと幸いです^_^これからもよろしくお願い致します! (2023年1月7日 13時) (レス) @page11 id: 20f64ffb2b (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 新作おめでとうございます!主様の小説がやはり1番好きです、更新いろいろあると思いますがどれも応援しています! (2023年1月3日 1時) (レス) id: cb9ba72967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚紀 | 作成日時:2023年1月1日 12時