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結局、話し合った結果いつもの居酒屋に来た。いつも案内される席とは違って今日は何故か個室側だった。ザワザワした店内が少しだけ静かに感じた。
WN「とりあえず、ビールでも頼もうか」
『うん。ビール、頼もう』
こんなにも意識しているのはわたしだけなのか。ウォヌは至って普通で、いつもと変わらないように見える。
すぐに運ばれてきたビールもいつもと変わらなくて。グラスが重なる音が響いて、喉を通るビールの味もいつも通りだ。ただ、いつもと違うのはわたしもウォヌも何も喋らないということ。
WN「あの、さ」
ウォヌはグイッとビールを流し込んだ後、口を開く。
WN「昼のことなんだけど」
『うん…』
WN「嘘、じゃないから」
いつものメガネ越しに目が合って。真っ直ぐなその視線からは逃げられない。
WN「俺は、Aのことが好きだ」
胸がギュッと掴まれて、何も言えなくなった。ウォヌはそう言って「ごめん、酒を入れる前に言いたかったけど」と下を向く。
WN「10年以上…、小学生でAのことを意識してからずっと、好き」
わたしの返答なんて待たずにずっとそう続けるウォヌにさっきからわたしは胸を掴まれっぱなしで。嬉しさとかなんだか色んな気持ちが溢れて泣きそうになる。
『わたしも、ウォヌのことが好き。小学生の頃から、ずっと。ウォヌのことを想ってたら…、10年も経ってた』
そう続ければ、ウォヌと目が合ってウォヌはギュッと唇を噛み締めていた。また2人して何も言わない、言えない、ただ無言の時間が流れて。そんな空気を掻き消すようにウォヌがフッと微笑みながら、顔を手で覆う。
WN「どうしよう」
『え…?』
WN「超、嬉しい」
子供のように、あの頃のウォヌのように、ウォヌは大きな笑顔を見せて微笑んだ。
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yz_dk_(プロフ) - むさん» む様 コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。いつもと比べて少しゆっくりな展開になるかもしれませんが楽しんでいただけますと幸いです^_^これからもよろしくお願い致します! (2023年1月7日 13時) (レス) @page11 id: 20f64ffb2b (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 新作おめでとうございます!主様の小説がやはり1番好きです、更新いろいろあると思いますがどれも応援しています! (2023年1月3日 1時) (レス) id: cb9ba72967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚紀 | 作成日時:2023年1月1日 12時