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#16 ページ16

side亜嵐

長い沈黙だった。

誰も口を開けなくて。







閉めた窓の鍵を閉めて、ゆっくり部屋の入り口の方を見れば。





玲於が、隼が、涙を静かに流していた。

メンディーくんは口をギュッと結んで、どこか一点をひたすら見つめていた。

裕太くんは拳を握りしめて、涙を零すまいと天を仰いでいた。






そして、部屋の真ん中で。







龍友くんに抱かれた、小さく丸まった涼太。









龍「寝たわ、ちょっとベッド運ぶな、」


長く重い沈黙を破ったのは、龍友くんだった。








その目は真っ赤になっていて、頬にはいくつもの涙の跡。





龍「まぁ、その……みんな見てた、んやろ…?」


言葉を濁しながら、言いづらそうに、辛そうにそう切り出した龍友くん。


みんなが黙って、龍友くんの次の言葉を待つ。









龍「そういう、ことや……」


次の言葉がわかってしまう辛さ。

次にどんな言葉が来るのか、わかってしまって。

それが苦しかった。



みんな、気付いてた。

部屋に入ってきた瞬間、わかってしまった。



嫌でも、認めたくなくても。









龍「もう…な」


また、龍友くんの頬を涙が伝う。









きっと龍友くんも、言葉にするのが辛いんだ。


わかってる、認めなきゃいけないことくらい。


気付いてた、これが現実だってことくらい。






だけど、言葉にすれば、口にすれば。









俺らが壊れる気がした。


もう二度と戻ることのない過去に、昔に、あの頃に。


すがっては、閉じこもってしまう気がした。


もう、進めない気がして。


きっと、立ち上がれない気がして。









それでも、受け止めなきゃ。

俺らは、"家族" なんだから。

全部、共有しなきゃ。

"運命共同体" なんだから。









龍「…涼太の中に、今の、涼太の中には…僕らはおらん」



止めどなく溢れる龍友くんの涙。


そう言う俺も、泣いてる。


視界が、ベッドで眠る彼が、滲んで見えるから。









"忘れる" という言葉を使わなかった。

"今の涼太の中" にいないと言った、その真意。




手に取るようにその全てがわかる気がして、苦しかった。




…………………………………………………………………………

赤星…!ありがとうございます!!

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りさ - jdhchebbdnさん» いえいえ(*^-^*)本当はもっと読みたかったけど完結おめでとうございます(*^-^*)新作待ってます(*^-^*) (2021年6月16日 0時) (レス) id: 3c9e6364e5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - お疲れ様でした!新しい物語も楽しみにしてますね!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年6月15日 23時) (レス) id: d773789e6b (このIDを非表示/違反報告)
jdhchebbdn(プロフ) - りささん» ありがとうございます! (2021年6月15日 22時) (レス) id: 23d7ad1fb8 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年6月12日 0時) (レス) id: 3c9e6364e5 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - jdhchebbdnさん» いえいえ(*^-^*)大丈夫ですよ(*^-^*)私はまだまだ読みたいですなので作者さんのペースでいいので書いて下さい(*^-^*)お願いします(*^-^*)続き楽しみにしてます(*^-^*) (2021年6月1日 0時) (レス) id: 3c9e6364e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:jdhchebbdn x他1人 | 作成日時:2021年2月28日 14時

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