ジェネハウス。#1 (ページ20)

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○19 / 嫉妬ページ20

side裕太

涼「ゆたくん、あのねっ、？」

裕「どしたん？」

休みの日くらいは家の中でダラダラしていてもいいだろうとリビングに寝転んでいると、何かを持って寄ってきた涼太。

涼「これぇ、ね？よぉーで？」

差し出されたのは、一冊の絵本。

裕「これ？ええよ、読んだる」

絵本が大好きな涼太がこうして、絵本を持って読んでくれと頼んでくることは少なくない。

だから今日もいいよと言ったものの。

玲「あぁー！ゆたくんっ！あしょぶの！」

隼「おしょと、いくのっ！」

玲「おしょと！」

突然バタバタとリビングに入ってきては、座っている俺の上に乗ってくる双子。

裕「今日はお外行かんよ。それよりメンくんどしたんや」

双子の面倒はメンくんが見てたはずやのに。

隼「あっち！」

玲「あしょんでるの！」

メ「もう、ちゃんとお片付けしてって言ってるでしょ！」

バタバタと追いかけてきたメンくん。

まぁメンくんが来たから俺は涼太の絵本を、と思ってテーブルに置いていた絵本を手に取ろうとすると。

玲「なぁに、これぇー？」

隼「りょたくんのやちゅー？」

パッとテーブルの上から絵本を手に取ったのは双子。

涼「あっ、りょたの、」

裕「ほれ、2人とも絵本返して？」

涼「りょた、の、やちゅー」

裕「そやな、涼太のやな。読んだるからちょっと待ってな」

手を伸ばして返してアピールをする涼太をなだめながら、双子から絵本を回収しようとしたとき。

玲「これぇー、ちゃう！おしょと！」

隼「おしょと、いくのぉーっ！」

双子の愚図る声。

そして。

バンッ！

涼太の持ってきた絵本を違うところへ放り投げた。

裕「こらっ！」

メ「何やってんの！」

さすがにその行為には怒るしかなく、メンくんとほぼ同時に双子に向かう。

裕「まずごめんなさいは？絵本にもやし、これ涼太が持ってきたやつやねんで？」

メ「涼太にもごめんなさいしなきゃだよね？」

真剣に怒るんだけど。

隼「おしょとなのーっ！」

玲「おしょと、おしょと！」

俺たちを外に連れて行かないのが悪いとでも言わんばかりにグズグズする双子。

なかなか納得しないし反省もしない双子。

そんなとき、ふと服の裾を引っ張られる。

裕「涼太？どしたん？」

涼「おしょと、いいよ？」

裕「せやけど」

涼「おしょと、いくのぉ、」

メ「いいの？」

涼「ん！」

涼太の優しさに甘えて、この日は外に行ったんだ。