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side龍友
龍「りょーた、」
裕「ごめん、」
臣さんに連れられてやって来た涼太の病室。
細い腕に痛々しく刺さった点滴。
思わず目を閉じた。
臣「目ぇ逸らすな。ちゃんと見とけ、涼太のこの状態はお前らの行動が招いたことだよ」
鋭い言葉に、何も言えず。
臣「俺が気付いた時にはすでに倒れて意識も朦朧としてた」
つまり、涼太は熱があった。
今日、いつもより動きがゆっくりだったのは、反応が鈍かったのは、熱があったから、?
臣「搬送中は意識朦朧としてる中でも、ずっと嘔吐してた。してたって言うか、もはや無意識に流れ出てるようなもんだったよ」
もしかしてトイレに座り込んでいたのは、吐き気があったから?
臣「搬送してから一回起きるまで、酸素マスクつけてたんだよ、涼太」
どれだけ辛かっただろう。
どれだけ苦しかっただろう。
臣「今日は全員が家にいたんだろ?本当に誰も涼太の異変に気づいてなかったのかよ」
今思えば、おかしな点がいっぱいあった。
だけど、だけど。
そのときの僕は。
裕「本当にすみませんでしたっ…」
龍「すみませんでしたっ…」
その他に、言葉が出てこなかった。
臣「俺に謝られても……涼太、?」
龍「え?涼太?」
裕「涼太、?」
突然黙り込む臣さんにつられて涼太を見ると、ボーッと目を開いていた。
臣「りょーた、わかるー?
臣さんが声をかけている涼太に思わず。
龍「涼太っ!ごめん、ごめんなぁっ、!」
抱きついた。
裕「ほんまにごめんなぁ。しんどかったなぁ」
裕太は頭を撫でた。
だけど。
龍「涼太、?」
裕「どしたんや?」
無反応。
どこを見てるのかわからない。
じっと固まって、僕らにされるがまま。
臣「ちょっとごめん」
すかさず臣さんが僕らの間に入る。
臣「りょーた、わかる?大丈夫、大丈夫だよ」
トントンと涼太の背中を叩きながら話す臣さん。
だけど涼太はやっぱり無反応で。
臣「疲れちゃってるもんな。よし、寝ちゃおっか」
そう言って涼太のお腹をトントンとすると、すぐに涼太はまた眠った。
そして固まる僕らの方に向き合う。
臣「人間不信だと思うよ」
龍「え、?」
裕「人間不信、?」
聞いたことはあるけれど、身近ではない言葉。
臣さんは表情を変えることなく、話を続けた。
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りさ - jdhchebbdnさん» いえいえ(*^-^*)続き楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月21日 3時) (レス) id: 4e892c9c3e (このIDを非表示/違反報告)
jdhchebbdn(プロフ) - りささん» ありがとうございます (2021年2月20日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
jdhchebbdn(プロフ) - そらさん» いえいえです! (2021年2月20日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - ジェネハウスがジェネハウス#1になってる(*^-^*)続き楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月20日 3時) (レス) id: 983b81c132 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 書いていただきありがとうございます! (2021年2月19日 23時) (レス) id: d773789e6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jdhchebbdn | 作成日時:2021年2月1日 22時