山吹116 ページ16
リクオは縛られて広間の中央に座らされていた。
目を覚ませばそこにいたのだ。
目を覚ます以前の記憶がジジイとの会話だというのにリクオが寝こけていた場所は硬い木造の床だった。
座敷にはふた部屋に分かれており、一方の向こう側の部屋には大きな体躯を持つ赤い河童と、隣には人間サイズの河童が座っていた。見るからに年老いた妖怪である。
上には多くの目玉があった。
妖怪の目だ。悪意の視線に突き刺されながら、リクオは再び赤い河童を見る。
「ふむ」
「いかが致しますかな？」
赤河童が自身の顎を撫でて、リクオをジックリ舐めるように見た。その間妖怪たちは黙ったまま凝視するだけである。
その場にいる者が違和感を感じていた。
何かはわからない。けれど、リクオに何かの既視感を覚えていたのだ。しかしそれが分からない。だから黙っていた。
リクオはとんでもないところに居ると思って寝巻きの裾を握っていた。
本当ならばそのまま駆け出したいのだが、無闇に動けば「やられる」と思ってなんとかその場に留まっていた。
赤河童は「……イタク」と呟くように言った。
「はい。ここに」
「おぬしが面倒を見ろ」
「はい」
リクオを囲む妖怪の束からひとりの男が音も立てずに隣に立った。
誰だろうと思う暇もなく、リクオはイタクに睨まれてピクリと肩を鳴らした。
殺気に包まれた視線である。
これまでにあったことのないものだった。
今、リクオを守る組の妖怪はいない。だからリクオは震える腕をなんとか押さえつけて見下ろしてくるイタクを睨み返した。
「ついて来い」
男はそれだけ言って歩き出す。
リクオはなんだか分からないけれど、この空気から逃げ出したいがために震える足をなんとか立ててスタスタ歩く男についていった。
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。まだ続きは書かれる予定なのですか？書いてくださるならいくらでも待つので更新頑張ってください！ (7月5日 19時) (
レス) @page21 id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
茶白猫好き(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2022年7月8日 19時) (レス) @page12 id: e24cbecaf8 (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました！！！更新ありがとうございます！応援しています！ (2021年12月12日 17時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらき | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/43825162
作成日時：2021年12月12日 16時
