山吹112 ページ12
「親父」
Aの声ではない。
およそ女のような声ではない、低音が紡がれて凝視する。
赤い瞳と黒い角が現れている。
雅だ。
幼い頃から言い聞かせられた雅鳳の中身。
恐ろしい妖怪には到底思えなかった。
少なくとも銀には親思いの心優しい青年であったのだろうと思えた。
大切なものが奪われると言うのは、こうも変えてしまうのだなと。
「もういいのか」
「嗚呼。充分だ」
「そうか」
ボソリと紡がれた言葉に頷いて、Aは振り返った。
「どうもありがとう。長殿に礼を言っておいてくれ」
Aはそう言って、襟の内側から金を取り出した。代金らしい。
相当多い大金だ。
Aはポイ、とそれを銀に渡して踵を返して島の出口へと向かっていく。
もう此処に用はないようだ。
銀は呆気に取られて引き留めた。
いくらなんでもアッサリし過ぎだと思ったのだ。
「なに？」
「え゙、あっ……いや……」
「用がないなら失礼する」
「あっ、いやちょっと」
「なんだ」
歯切れの悪い銀に、Aは不機嫌を隠すことなく眉を顰めた。
銀はソワソワして視線をあちこちに向けた後、ボソッと「俺も、連れてってくれない、でしょうか……」と言った。
「……本気か？」
「だ、ダメですか」
「……好きにしたらいい。けど、命の保証はしない」
「何処に行かれるんですか」
「京都へ」
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。まだ続きは書かれる予定なのですか？書いてくださるならいくらでも待つので更新頑張ってください！ (7月5日 19時) (
レス) @page21 id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
茶白猫好き(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2022年7月8日 19時) (レス) @page12 id: e24cbecaf8 (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました！！！更新ありがとうございます！応援しています！ (2021年12月12日 17時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらき | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/43825162
作成日時：2021年12月12日 16時
