past.14 ページ25
◎むらかみさん
2015年3月。
関ジャニ∞が11年目を迎える年に差し掛かって数か月が経ったある日のこと。
俺は楽屋のソファーで深い眠りにつくある男を見て思わずため息をついた。
「信ちゃん、ため息ついたら幸せ逃げますよ。」
「そんなんで逃げるかいなあほ。」
隣に座るマルが話す迷信なんて、信じてたらキリがない。
今までこいつにどんだけため息をつかされてきたことか。
ほんまに幸せ逃げるんやったら、今頃死ぬほど不幸になってるっちゅうねん。
「また晴人ちゃんのことで悩んでるん？」
「まあ…それしかないやろ。ほんまにこいつ、どんだけ言っても喋られへんねんから。」
「たしかに晴人ちゃん、自分の気持ち喋るの苦手やからねえ。」
俺を悩ませているのは、最近の晴人のバラエティ番組での態度。
昔は苦手ながらもハキハキと喋ろうと頑張っている様子が見られたのに、ここ数年は後列で地蔵のように座っているだけ。話を振られても目線で大倉やマルに助けを求め、自分にきた話題を他人に流す始末。
ジャニ勉とかのレギュラー番組やったらまだ少々助けてやれるけど、単独で出るとなると他の演者さんに迷惑をかけてしまう。
俺はそのことをずっと気にかけていて、ことあるごとに晴人に忠告はしているのだが…
「でも晴人ちゃん、あんまり一人でバラエティとか出ることないやろ？じゃあそんなに焦らんくてもええんとちゃうの？」
マルの言う通り、晴人は3年前に仕事復帰して以来個人の仕事はセーブしている状態。
そのおかげか最近は薬もだいぶ減って普段通りの生活もできてるみたいやし、パニックの症状も前ほど出なくなっている。
「せやかて、この状態を放っといてもええことないやろ。前プロデューサーにも言われたんやから。晴人はクールに見えて意外とアホで突飛なこと考えてるから、それがもっと前に出てきたら良いのにって。」
「信ちゃん、それ褒めてるんかけなしてるんかわからへん…。」
だからこそ、俺は晴人に一歩進んでほしいと思っている。
たしかに今のままでも十分なのかもしらんけど、せっかく関係者の人らに伝わってる晴人の良さを出さないでいるのはもったいない。
「晴人ちゃん、昔はよく喋ってたのにね。それこそ、復帰前とか。」
「たしかにせやけど。なんで昔できたことが今できへんくなってるねん。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さざ波 | 作成日時：2021年2月14日 22時
