僕は僕の青春を取り戻す【∞】2 (ページ36)

今日:7 hit、昨日:16 hit、合計:34,871 hit

＃ページ36

◎はまださん

こうやって気軽に喋れるようになったのも、実はというと最近のこと。
去年、俺が初めて主演を務めた舞台を晴人が見に来てくれたのがきっかけだった。

「晴人、最近は元気なん？」

『なんなん、濱ちゃんまで俺の心配すんの？淳太みたいやで。』

そう言ってふふっと笑った晴人の顔は、昔よりも随分と穏やかな表情に見える。

俺らがよくエイトさんのバックにつかせてもらっていたとき、晴人はいつも自信のない笑顔をカメラに向けていて、ジュニアからすると他人を寄せ付けないようなイメージがあった。
真っ黒な瞳の奥に感じる鋭い視線。
それが、俺が晴人を自然と遠ざけてしまっていた理由のひとつでもあった。

ジュニア時代、淳太がなにかにつけてデビューした晴人のことを気にかけていたことは薄っすら知っていた。だけど、突然活動休止をした彼が当時何を思っていたのか、何に悩んでいたのかを俺は知る由もない。

「ええやん。俺にかて心配くらいさせてよ。」

『うわ～急に同期面し始めた！俺のこと嫌いやったくせに！』

「嫌いちゃうって～！やめてや、また変な噂流れるやん！！」

今では俺らの活動のことも小まめにチェックして、今日みたいに声をかけてくれる晴人。
なんだか恥ずかしい気持ちになるけれど、俺たちも頑張らないとと励まされてきた。

『ほんまに俺は濱ちゃんのこと応援してるから！今日はそれを伝えにきてん。じゃあ俺そろそろ戻るわ！』

そう言い残すと、晴人は嵐のように俺らの楽屋を去っていった。

「淳太～まじでよかった！晴人と普通に喋れたわ～。」

「濱ちゃん、そんな意識せんでええって。昔のことなんか晴人はなんも気にしてないよ。」

理由はないけどなんとなく晴人のことを避けて、話せなかったあのときの自分。

照史や淳太に比べると俺は晴人のことを良く知らないけれど、
俺の演技が好きだと言ってくれて、いつも応援してくれる彼のことを
俺はもっと知りたいと思っている。

「なんで晴人、俺のことあんなに好いてくれるんかな。」

「理由なんて無いやろ。あいつは昔からああゆう奴やし。」

「うわ、晴人のこと昔から知ってます感すごい。さすがや…。」

ファンの間では、未だに気まずいと思われている俺と晴人。

だけど、ファンの子たちに2人は仲が良いと思ってもらえるときが来るのも、
そう遠くないかもしれない。