僕は僕の青春を取り戻す【∞】2 (ページ23)

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◎やすださん

〈安田くん？安田くんだよね！？僕めちゃくちゃファンなんだよ！僕のこと覚えてる？〉

風呂上がりにテーブルの上で鳴っていたスマホを耳に当てると、聞こえてきたのは馴染みのあるハイテンションな声。一瞬間違い電話かと思ってビビったけど、後ろから聞こえてきた呆れ声で肩の力が抜ける。

『もう～よっちゃん！やめてよ。章ちゃん困ってるやんか。』

ふとカレンダーを確認すると今日は水曜日。そういえば今日は、晴人がパーソナリティを務めているラジオの生放送の日やったはず。てことは、あれ？これってみんなに聞こえてる感じなんか？

「えっ、ちょっと待って。これは電波？」

『うん。これは電波よ。ごめんね章ちゃん。』

〈“これは電波？”ってどんな質問なのよ安田くん。〉

『もう！よっちゃんは黙ってて！ほんまうるさい。』

晴人からよっちゃんと呼ばれているこの男性はラジオ局のDJの吉岡さんで、晴人のラジオのアシスタントを担当している。一度ゲストで出させてもらったときにお会いしたことがあるんやけど、すんごい優しくて、そんでもって騒がしい人。

たしか横山くんと同い年やったと思うんやけど、晴人はそんなことお構いなしにタメ口で話している。まあ、それだけ信頼関係があるっていることなんやろうけどね。

最初はなんや意味がわからんかったけど、喋っているうちに生放送中に電話をかけてきたということは理解した。よっちゃんさんがあまりにもうるさく喋るもんやから、晴人はだんだん拗ね始めた。

『なんなんよっちゃん。俺が章ちゃんと喋りたくて電話したのに！横取りすんな！』

〈だってしらちゃんはいつでも安田くんと話せるじゃん！俺なんてテレビで見ることしかできないんだからね。今日くらい良いでしょ！〉

2人の夫婦漫才かのような軽快なやり取りを聞いて、おもわず笑ってしまう。

こんなにも晴人が感情を出してコロコロと笑えているのは、よっちゃんさんを完全に信頼しきっている証だ。