太刀川隊のケンカップル事情 2【出水公平】 (ページ26)

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喧嘩 67 ページ26

出水 side

葵が連れ去られて2日が経った。

みんなの雰囲気はとても悪い。
特に、太刀川隊はピリピリしていた。

「俺たちを外に出せないって、どういうことですか！」

今遠征艇は少し移動して、国の近くにいる。
それなのに太刀川隊はまた狙われる恐れがあるため、出動を禁止されていた。

「仕方ないだろう、お前たちがまた狙われるかもしれないんだ」

「でも、葵がいるかもしれないんですよ！」

風間さんに対抗して言った。
けれどそんなこと、聞いてもらえるわけがなかった。

そして、何もできないまま他の隊は出動はしてしまった。

俺は心配でならなかった。

今直ぐに会いたい。抱き締めてやりたい。

そんな気持ちが余計に俺を苛立たせた。

「くそッ‥‥‥！」

柚宇さんも、心配で昨日は泣いていた。
朝からあまり元気がない様子だった。

いなくなって気づくこともある。

あいつが居ないと、みんな本調子じゃないんだって

「出水、国近」

太刀川さんが俺たちを呼んだ。
いつもとは違う、真剣な表情に顔を上げざるおえなかった。

「準備しろ。葵の救出に向かう」

「でも、そんなことしたら‥‥‥」

「そうですよ。風間さんに怒られますよ」

一瞬だけ、「行きたい」と思った。
けれど、このまま行けば今度は遠征に来ることを禁止されるかもしれない。
その危険がある限り、出動するのは難しい。

「お前たちは、味方を無くして助けないような最低なやつじゃないだろ？あいつなら仲間がいなくなった時、死んでも探しに行くぞ。それに待ってるはずだ。俺たちが来るのを」

その言葉で俺たちは目を見開いて、笑った。

「太刀川さん、かっこいいですね」

「今更か」

そして太刀川隊はトリガーを起動し、戦場の地へと向かった。