太刀川隊のケンカップル事情 2【出水公平】 (ページ22)

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喧嘩 63 ページ22

「ミーナ、お姉ちゃんを防衛団長に紹介してくるから後でな」

「うん！」

しばらくして泣き止んだ私に遊真は言った。
防衛団長とは、この国の偉い人なのだろう。

これから、私がどうなるのかはその人が決めるらしい。

『私はっ』

「わかってる。帰りたいんだろ？」

首を縦にふる。この少年は何故こんなにも人の気持ちがわかってしまうのか。
不思議でならない。

「ほら、着いたぞ」

そう言われて見上げた建物はとても大きく、正直驚いた。

そのまま中に入り、作戦室らしき場所に行く。

「遊真、帰ってたのか」

「まあね。ミーナが言ってた女も連れてきたぞ」

遊真と話しているのは、まだ若い男の人だった。
自己紹介しろと遊真に我言われ、慌てて話す。

『‥‥‥初めまして。葵Aです』

「初めまして。ライモンドだ、この国の防衛団長をしている」

手を差し出されたので握った。
よかった、思っていたよりも随分と優しい人だった。