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家紋の刻まれた着物を身に付け、炎柱様のお部屋に向かう。
「失礼致します」
そう一言声を掛けてから襖を開くと、炎柱様はこちらに背を向けただ静かに座っていた。
…やはり怒らせてしまったのだろうか。
そんな不安を飲み込んで声を掛けようとするが、部屋に入った途端張り詰めた空気が肌を突き刺し思わず口を閉ざす。
月明かりのみが差し込む部屋で、炎柱様の髪が輝いていた。ただの客間。何も変わらぬ我が家のはずなのに、その光景はあまりにも荘厳で仰々しい。
思わず息を呑み目を見張っていると、途端にふっと空気が和らいだ。
「すまないな！このくらいしかできることがないのだ！」
こちらを振り向いた炎柱様は普段と変わらぬ表情でそう言った。胸をほっと撫で下ろし、それから頭を深々と下げる。
「先程はとんだ御無礼を、大変申し訳ございませんでした」
「いや！こちらこそ気を遣うことができず申し訳ない！もう身体は大丈夫なのか！」
「はい、お陰様で何ともございません」
「なら良かった！」
怪我人に心配を掛けてしまった。どうしてもいたたまれず、つい立ち上がる。
「炎柱様の布団は先程私が使ってしまったので、新しいものをご用意致します」
敷いてあった布団を片付け新しいものをせっせと用意する。突き刺すような視線を感じ炎柱様の方を見ると、ぱちりと目が合ってしまった。
「何か…」
「よもや、少し見惚れていただけだ！」
私の問に快活に答える彼。一瞬意味が理解できなくて固まっていると、炎柱様はそのまま言葉を連ねる。
「君程美しい人を俺は知らない！」
恥ずかしげもなくそう言い切った彼は尚私から目を離さなかった。胸の奥が締め付けられるような心地がして、私も何故か彼から目を逸らせなかった。
「うむ、困らせるつもりはなかったのだが…」
僅かに眉を下げた彼は、すまないと微笑んだ。こんな時何と答えるのが正解なのだろう。
でも、この心の擽ったさには…胸の高鳴りには、嘘をつきたくない。
「嬉しいです、ありがとうございます」
ほんの僅か微笑んでみせると今度は炎柱様が驚いたように目を見開く。
鈴虫の音が秋風に乗せられ、私達の耳に届いた。
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シルビア★姉貴 - 中村さん» もし良ければ私と鬼滅で合作しませんか？？ (6月14日 16時) (
レス) id: e86143b1ee (このIDを非表示/違反報告)
中村(プロフ) - NIKOさん» お読みいただきありがとうございました。感動していただけたならばとてもとても嬉しいです。 (6月11日 18時) (レス) id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
中村(プロフ) - Lullさん» コメントありがとうございます。沢山お褒め頂けて嬉しいです。続編もお読みいただけると幸いです。 (6月11日 18時) (レス) @page29 id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
NIKO - 面白過ぎですよ…涙腺崩壊させる気ですか？ (6月11日 9時) (レス) @page29 id: 412fd2ba39 (このIDを非表示/違反報告)
Lull(プロフ) - 完結おめでとうございます。占ツクにはなかなか無い地の文多めのお話で雰囲気がとても好みでした……煉獄さんとの日々が丁寧に描写されていて没入がとてもしやすかったです。続編楽しみにしております。 (6月6日 20時) (レス) @page24 id: 96403d796f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中村 | 作成日時：2023年6月4日 0時
