花は匂えど散りぬるを【煉獄杏寿郎】

二 ページ25

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今度は学校で自分の家の印を調べる宿題が出た。

私のお家の印は、前からお母さんが見せてくれたからよく知ってる。

それに、ご先祖さまのお話は聞いていてすごくすごく感動するの。


「お母さん、どうして私の家の印は藤の花なの？」


名字は全然関係ない漢字だしって言ったら、お母さんが昔のお話をしてくれた。


まだ人を食べちゃう悪い鬼がいた時代に、鬼退治をするすごい人たちがいて、私のご先祖さまはその人たちを助けるお仕事をしていたんだって。

藤の花は特別なお花で、鬼退治をする人の役に立つ花だから私の家の印は藤の花なんだって。


「ご先祖さまが大切にしていたもの、特別にみせてあげる」


お母さんはそう言って、お家の奥からボロボロの木の箱を持ってきた。その中にはいっぱい本が入ってて、あとはお医者さんが持ってる道具とか、あとはきれいな赤いお花のかんざしが入ってた。


「このかんざしは藤のお花じゃないんだ」

「これはね、ご先祖さまが一番大事にしてたものなのよ」

「ふーん、たしかにきれいだもんね」


きらきらしているそれを、お母さんは箱の中にしまった。こんなにきれいなのにもったいないなって、そうおもった。


「お父さんもね、大切なものを沢山持っているはずよ」

「そうなの？」

「そうよ。だから今度見せてもらいなさい」


お母さんはそう言って、また笑顔になった。


私はお母さんの笑顔がだーいすき。



だって、前はちゃんと見れてなかった気がするから。




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