十五話 ページ15
その合間にもサイドから蹴りが飛んで来るのが見えたので、自分の小柄さを利用した、しゃがんでからの足掛けをする。
またオーラを大量に消費したせいで、両面宿儺の足を引っかけるだけでも汗が止まらない。
しかし転ばず、ガン!と当たっただけに終わったのを確信した私は、身を低めながら横に飛んだ。
飛んでから先程まで居た場所を見れば斬撃が無数に入り、土がごっそりと抜けていた。
「どうした? 逃げるばかりじゃ何も始まらんぞ」
からかうような笑い声が雨の中なので、やけに耳に残った。
両面宿儺はすぐ半裸になりたがる露出狂だから、服が無い分ほんのちょっとは防御が成ってないと思いたかったのに。
「......! オマエは今不躾なことを考えたな?」
「気のせいですけど何か」
意外と勘づきやすいな……。この露出狂め。
「なに、呪力でも素でもない面白いモノを見せたことに免じて許してやろう」
両面宿儺はそう言ったかと思えば、束の間、両面宿儺の目の色の熱が冷めたように引いていく。
「だがもう飽きた」
その言葉を合言葉に、いきなり視界の中に入ってきた鮮紅色は一体誰なのか。
考えてしまった途端に肩に激痛が走る。
そうか、既に切られていたのか。
それにしても飽きるのが早い。
「アァァァァァ!!!」
肩を押さえても、即座に堅をしても今度は膝から下を失い、視界があの頃の高さにグン!と戻る。
痛い、寒い、痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
目の前の雑草を投げつけたいのに、痛みと恐怖で何も出来やしない。片腕が消えた。
倒れた私を前に、目の前に足が見えた。
筋肉質な足はピンピンとしていて、誰の足なのかすぐに分かった。
だからこそ憎たらしくて、悔しくて。
残りわずかの念をかき集めながら何度も足を叩いた。
ペチペチと弱々しい音がより一層私の涙を促した。
「痒い」
腹を蹴られて、ゴロゴロと地面に転がっていく。
片腕を地面についても、また斬られてドシャッと頭から地面に行った。
私は両腕を失った。
口の中は血の味とジャリジャリと歯の隙間から砂の味がした。
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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください楽しみにしてます (2022年8月30日 1時) (レス) @page18 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - この展開からどうなるんだぁー。楽しみすぎて夜しか眠れない。 (2022年8月28日 21時) (レス) @page16 id: 6bb8b6637d (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 面白くて好きです!更新は体に気をつけてです! (2022年8月27日 19時) (レス) @page12 id: 6bb8b6637d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:_ | 作成日時:2022年8月24日 22時