Loneliness#3 ページ29
久々に会った友達はYouTube見てるよ、と感想を言ってくれた。関西弁が飛び交う会話と高校時代の思い出話。学校帰りによく寄った本屋が閉店したとか、京大に行った誰某がダブったとか、そんな話ばかりだったが、どれも懐かしくてほんの少しだけ大阪に帰りたくなった。
「そういえば川上さ、最近海原さん？ って人と仲いいらしいけど」
「AさんとはAさんが入った頃から仲いいよ」
「あ、そうなん？ いやさ、この間Twitterでその人の愚痴ばっかり言っとるアカウント見つけてさ」
「あ、俺もそれ見たかも」
そう言ったのは、今は早稲田に通ってる友人で、京大に通ってる友人もそれに乗っかる。
QuizKnockが大きくなったことで、愚痴垢なるアカウントが出てくるのは予想していた。ファン同士がタグで繋がろうとしている時に必ずと言っていいほど見かけるのが「同担」という単語だから、動画出演メンバー唯一の女性であるAさんに、そういった女性ファンからのヘイトが溜まるのも理解できる。
Aさんに動画出演を頼む際にそこは懸念材料として上がっていて、本人が「会ったこともない人に何言われても気にしない」と言い切ったから、Aさんの動画出演が決まった。勿論、俺達も細心の注意は払っているし、Aさんにも何かあったら報告するように言っている。
「Aさんはそういうの気にしない人だよ」
「まあそうなんやろうけどさ、海原さんってQuizKnockの社員ではないんやろ？ 外で何か起きた時にすぐ対処できひんのちゃうかなあって」
なまじ綺麗な人だから嫉妬も買いそうやし、と続けた友人にどう返すべきか分からずにいたら、ちょうどそのタイミングで店員が追加の飲み物を持ってきたから、結局応えるタイミングを失ってしまった
「あ、あの」
「はい？」
ビールを置いて立ち去るかと思われた店員は、俺の方を向いて何か言いたそうにしている。
「川上拓朗さんですよね？ QuizKnockの」
「……ああ、はい。そうです」
「いつも動画拝見してます。あの……お写真よろしいですか？」
ファンだってよ！ という友人達の冷やかしを聞き流して、店員さんを改めて見る。俺達と同世代の、どこにでもいる大学生の風貌だった。
「すみません、俺そういうの全部お断りしてるんです」
街を歩いていて声を掛けられるようになったけど、伊沢さんと違って芸能人ではないことを理由に写真や握手は全て断っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 369人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
氷室(プロフ) - ゆうさん» 遅レスで申し訳ないです。コメントありがとうございます。中身だけでなく文法まで見ていただいてありがとうございました。いつかまた書きにきます！ (2021年8月17日 19時) (
レス) id: 1bccd1cc64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 凄く面白いし文法しっかりしてるしてるし、2人がくっつくまで最後まで見たかったのが悔やまれます (2021年8月5日 11時) (レス) id: b752a04231 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - シャボン玉さん» コメントありがとうございます。14時代からのラベンダー推しです！分かる人がいてちょっと嬉しいです笑 (2019年12月22日 20時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます。川上さんが子供っぽすぎるかなあと思っていたので、可愛いと言っていただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年12月13日 18時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - こんな川上さんいたら、キュン死にする。かわいい(´・ω・｀) (2019年12月13日 16時) (レス) id: b66e2f7b3d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷室 | 作成日時：2019年11月27日 0時
