ガキの頃みたくまっすぐに#5 ページ25
初めての男は須貝くんの友人だった。確かに酷い結末だったけど、須貝くんが責任を感じる必要なんてない。たとえそれ以降、私に恋人らしい恋人がいないとしても、だ。そもそも何年も引き摺ってる私が悪い。
「やっぱりアイツのせいじゃんか……」
「ちょ、なんで須貝くんが泣きそうな顔すんのさ。須貝くんのせいじゃないって何回も言ってるでしょ」
「うっさいわバーカ！ ナイスガイの親友ならもっとナイスに慰めろよ！」
「無茶振りが過ぎる！」
「うっさいチビ！ ワーカホリック！ ニコ中！ 禁煙しろ禁煙！」
「ワーカホリックとニコ中は認めるけどチビは認めん！ お前が無駄にデカいだけだろアホ！ 半分寄越せ！」
さっきまで真剣な話をしていたのに、次の瞬間には小学生レベルの言い合いを始めるのはいつものことだ。大人になってからは友達と会う時間も減るから、須貝くんがこうして大学時代のように口喧嘩を吹っかけてくれるのは実はとても有難い。
「──ダメです」
「へ？ うわっ、ちょ、川上くん？」
いつの間に起きたのか、後ろから引っ張られたと思ったらさっきまでソファで寝ていた川上くんの腕の中にいた。
アルコールのせいか、背中に回った腕が熱く感じる。
……つか苦しい！ 身長差考えろ！
「須貝さん、俺がAさんのこと好きだって知ってますよね」
「知ってる知ってる。だからA離してやって！」
「やだ」
「やだじゃなくて、苦しそうだから！」
「俺だって苦しいです。なんで取ろうとするんですか。須貝さんとAさんが仲良いのは分かっとるけど、家によく来るのも聞いたけど、着替えの場所分かってるのとか、冷蔵庫漁ったりしてるのとか、俺はそんなんできひんのに」
「え、ちょ、川上もしかして泣いてる？」
「泣いてへんし。もう嫌や。Aさんのこと一番好きなの、俺やのに。Aさん、須貝さんと楽しそうに話してるし。けど須貝さんも尊敬してる友達だから、俺じゃなくて須貝さんがいいって言われたら引き下がるしかないやん。けど嫌や」
関西弁混じりに、私の名前を呼ぶ川上くん。肩に顔を埋められてるから顔は見えないけど、きっと泣きそうな顔をしているんだろう。
まだ川上くんのことを、好きとは言えない。こんな中途半端な想いで答える訳にはいかない。
けど、泣きそうになっている弟分の頭を撫でることくらいは、許してほしい。
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氷室(プロフ) - ゆうさん» 遅レスで申し訳ないです。コメントありがとうございます。中身だけでなく文法まで見ていただいてありがとうございました。いつかまた書きにきます！ (2021年8月17日 19時) (
レス) id: 1bccd1cc64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 凄く面白いし文法しっかりしてるしてるし、2人がくっつくまで最後まで見たかったのが悔やまれます (2021年8月5日 11時) (レス) id: b752a04231 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - シャボン玉さん» コメントありがとうございます。14時代からのラベンダー推しです！分かる人がいてちょっと嬉しいです笑 (2019年12月22日 20時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます。川上さんが子供っぽすぎるかなあと思っていたので、可愛いと言っていただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年12月13日 18時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - こんな川上さんいたら、キュン死にする。かわいい(´・ω・｀) (2019年12月13日 16時) (レス) id: b66e2f7b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷室 | 作成日時：2019年11月27日 0時
