賽は投げられた#1 ページ2
SIDE kwkm
QuizKnockが法人化した報告動画を収録したその日、オフィスでは宴会状態だった。酔った山本は何度も伊沢さんに「おめでとうございます！」と言っているし、河村さんと福良さんは「長かったようで短かったねぇ」なんて初期の思い出話に花を咲かせ、須貝さんは「伊沢ならやれると思ってたんですよ！」なんて泣きながらグラスを傾けている(須貝さんは泣き上戸だ)。
長かった。
たった三人の大学生で始まったQuizKnockに山森さんが入り、福良さんが入り、山本やこうちゃん、須貝さんが入り、今この場にはいないライターも増えた。少しずつ大きくなって、活動の幅が増えた。
クイズ番組にクイズを提供するようになって、一般の人が見て楽しめるクイズの作り方を知った。
出版社にリテイクをもらいつつ本を執筆して、俺がこれまで読んできた本もこうやって生まれたんだなと知った。
まだまだ手探りなところも多い。けどあの日、伊沢さんと河村さんと話した、第一目標を達成できた。その喜びは俺の胸にもあった。
あと──
「Aさん」
喧騒から離れたベランダに、煙草を吹かす人影。
「おー、飲んでるかー？」
名前を呼ぶと振り返って、緩く笑うのはQuizKnockが誇るエンジニアの一人、海原Aさん。
Falconさんが、組織を大きくするなら大きい会社で働いた実績のある優秀なエンジニアは必要不可欠だと言ってスカウトしてきてくれたフリーランスのSE。
動画に華がないと悩んでいた時期、快く顔出しOKをしてくれたメンバーでもある。須貝さんと同い年とは思えないほど小柄だけど、顔立ちは幼さと大人っぽさが同居したミステリアスな雰囲気。なのに口を開くと男勝りな発言ばかりで、女性ファンから「お姉ちゃんにしたい」とコメントがくるのも頷ける。
「飲んでますよ。Aさんは？」
「飲んでるよー。けど若い子のノリには付いていけなくて、ここで一服しながら休憩中」
「禁煙した方がいいですよ」
「仕事の効率落ちていいなら」
「それは困ります」
同じように欄干に凭れる。
春とはいえ、まだ夜は寒い。けど隣から感じる熱が心地よい。
これから自分がすることに、胸の高鳴りが止まらない。
「Aさん」
「んー？」
「好きです」
「…………は？」
「Aさんが好きです。結婚を前提に、俺とお付き合いしてもらえませんか？」
「…………はあ!?」
Aさんと出会ってから決めていた。
QuizKnockが大きくなったら、告白しようと。
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氷室(プロフ) - ゆうさん» 遅レスで申し訳ないです。コメントありがとうございます。中身だけでなく文法まで見ていただいてありがとうございました。いつかまた書きにきます！ (2021年8月17日 19時) (
レス) id: 1bccd1cc64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 凄く面白いし文法しっかりしてるしてるし、2人がくっつくまで最後まで見たかったのが悔やまれます (2021年8月5日 11時) (レス) id: b752a04231 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - シャボン玉さん» コメントありがとうございます。14時代からのラベンダー推しです！分かる人がいてちょっと嬉しいです笑 (2019年12月22日 20時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます。川上さんが子供っぽすぎるかなあと思っていたので、可愛いと言っていただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年12月13日 18時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - こんな川上さんいたら、キュン死にする。かわいい(´・ω・｀) (2019年12月13日 16時) (レス) id: b66e2f7b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷室 | 作成日時：2019年11月27日 0時
