頬をつく#2 ページ36
「え、褒めて良かったの？」
「何でダメだと思うの」
「だって川上くんこういうの嫌いかなって。褒めて良かったなら言ってよ！ 川上くんもめちゃくちゃ可愛かった！」
見上げた先にあるAさんの目は、いつもの鋭さはなりを潜めていて、キラキラと輝いて見えた。
「ぐえっ」
思わずいつもより高い位置にある背中を抱き締めたら、色気のない声を上げるAさん。頭上から抗議の声がするけど聞こえないフリをして大きく息を吸えば甘いの香り。微かに煙草の匂いがするのがまたAさんらしくて安心する。
「福良せんせー、川上くんが甘えた期でーす」
「いいんじゃない？ 最近疲れてるみたいだからお姉さんとして甘えさせてあげてください」
「マジか。裏切られた」
笑い声がして、Aさんの手が頭を撫でる感触がした。あの小さい手で、いつもは届かない俺の頭を撫でているのかと思ったら堪らなく愛しい。
「Aさん」
「はいはい、今度はなんですか？」
「好きです」
もう何度目になるか分からない。けど何度言っても伝わらないようで、Aさんは「私も好きだよー」と軽く受け流している。
友愛としての好き、だと分かっていてもドキッとする自分がいる。
「俺も姐さん好きー！」
「私も山本くん好きー！」
「あっ、ズルい！ 俺も……ま、まあ好きですよ！」
「まあってなに。そこは素直に好きって言えよ」
「こわっ。そんな怒らなくてもいいじゃないですか！ つか川上さんはいつまでそうやってるんですか！ 俺も姐さんとハグしたいのにこのままだと川上さんにする羽目になるじゃないですか！」
「こうちゃんには譲らん」
こうちゃんのギャーギャー反抗する声と、山本とAさんの笑い声。最初はつまらない気持ちだったけど、気付けば気持ちは晴れていた。
「え、じゃあ俺も〜」
「よしこい福良くん！」
「福良さんまでズルい！」
その日、結局終わってから一時間くらいこうしてじゃれ合っていて、様子を見に来た河村さんが抱き潰されたAさんを見て爆笑していた。
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氷室(プロフ) - ゆうさん» 遅レスで申し訳ないです。コメントありがとうございます。中身だけでなく文法まで見ていただいてありがとうございました。いつかまた書きにきます！ (2021年8月17日 19時) (
レス) id: 1bccd1cc64 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 凄く面白いし文法しっかりしてるしてるし、2人がくっつくまで最後まで見たかったのが悔やまれます (2021年8月5日 11時) (レス) id: b752a04231 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - シャボン玉さん» コメントありがとうございます。14時代からのラベンダー推しです！分かる人がいてちょっと嬉しいです笑 (2019年12月22日 20時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
氷室(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます。川上さんが子供っぽすぎるかなあと思っていたので、可愛いと言っていただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年12月13日 18時) (レス) id: 5b43cc9a48 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - こんな川上さんいたら、キュン死にする。かわいい(´・ω・｀) (2019年12月13日 16時) (レス) id: b66e2f7b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷室 | 作成日時：2019年11月27日 0時
