☆Who knows？ ページ14
『俺達は知ってしまったから
この恋の行く先を__』
＊
目を覚ませば俺は普通に家のベッドで寝ていた。
でも昨日まで一緒に寝ていた彼女はもちろんいない。
今日は一体いつなんだろう。このまま３日間がそのままあったことになるなら今は3月9日。でもなかったことになるなら3月6日だ。
とにかく確かめない事にはわからないのでスマホに手を伸ばして電源ボタンを押した。
「＿＿え」
驚いた。どちらでもない、スマホに浮かび上がったその文字は、
＿＿3月4日。不思議な世界が現れた1日前。つまり、俺が世界を嫌いになったあの日、もし繰り返しているなら今日は。
完全に目が覚めた。制服に身を包んで食事をとって身支度をして家を出る。沢山の人が戻ってきて、輝きも色もない世界がそこに置かれた。
同じ事が繰り返されるなら、今日は。
＿＿緊急朝礼。生徒全員が体育館に集められ、彼女が壇上へ上がる。
「皆さん、私事でこんな朝礼を開いてしまい申し訳ありません」
繰り返す、あの苦しみを、俺達はまた。
だけどあの３日間のおかげで、少しだけ軽く感じられた。
「私は、」
＿＿生徒会長だった。誰よりも完璧で、誰よりも人の事を考えられる。
普通はこんな朝礼わざわざ一人の為に開かれないのに、彼女だから。＿＿同級生からも、先輩からも、後輩からも、先生からも愛された、生徒会長でお嬢様な彼女だから開かれたんだ。
多分この朝礼をダルいだなんて思う人はここには一人もいない。
「＿＿かねてから決まっておりました私の婚約者との結婚の為、この学校を離れる事になりました」
周りがざわつく。それだけ彼女が愛されていた、という事だ。
俺にとっては2度目の、でも少しだけ大人になれた気がしたから。
「私は、この学校の皆さんが大好きでした。もっと一緒にいたかった。でも、私はっ……」
涙で言葉のつまった彼女に生徒の方から「私も大好き！」と呼びかける声が飛んでいく。
そんな呼びかけに応えて、彼女は誰よりも高い場所で、無理やりにでも完璧な笑顔を作ってみせた。
「つきましては、私の変わりの生徒会長を、＿＿私の信頼する親友で現副会長の幸村精市くんにやって貰います」
「え……」
それはなかった、一度目の今日には！
壇上の彼女を見つめれば拒否権はないよというかのように笑っていた。
拍手で送られていく、まるで彼女のためだけの卒業式みたいな。パチパチと見送られる背中が見えなくなった瞬間俺は先生の声も振り切って走り出した。
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のん(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» 早速読んで頂きありがとうございます……！もうめっちゃ有難いです！！絶対に叶わない両想い、私もわりと気に入ってます笑宿題頑張ってください！笑 (2019年3月7日 16時) (
レス) id: d9f3c28035 (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - すごく面白かったです！宿題忘れて読み耽りました！(！？)絶対に叶わない両想いって切ないですね。私が書くとだいたい両片想いになっちゃうから、もう、本当、すごいです(語彙力) (2019年3月7日 16時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nonhp319305/
作成日時：2019年3月5日 20時
