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僕は思い切り駆け出した。
失敗するかも知れない、捕まったら 殺されるかも知れない。
そんな不安をも抱き ─── 隙をついて用意をしておいた
海岸にあるはずの一隻の小船に向かって。
背後から 僕を引き止めようとする声が聞こえる。
人混みを掻き分けて、森の中を休む事なく走って。
ようやく辿り着いた海岸を見回すと 一隻の小船が視界に入った。
良かったと安堵の溜め息を吐くと その小船に急いで乗り込む。
そしてオールを手に取った。
逃げよう。
あの地獄のような 腐った世界から。
漕いだことのないオールを 思い切り動かす。
小船は少しずつだが、確実に ゆっくりと動き始めた。
どんどん小さくなって行く島を見つめると。
僕は 口角を上げて、呟いた。
彼等に挑発をするように。
「さァ ─── 鬼ごっこの始まりだ」
キミ達が 鬼で
僕は 逃げる方だね、と。
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作者名：幹 雪菜 | 作成日時：2017年9月17日 12時
