第1話 ページ1
『嘘でしょ……。』
千葉から東京へ引越し、渋谷にある学校へ転校することになった私。
"神山高校"の校内へ入り、職員室を探していた時。
ある光景に硬直してしまう。
『(なんか、見覚えのある姿が目の前に…)』
私の視線の先には、
全力で逃げている金髪の少年と紫色の髪の少年。
『(あれって、天馬司と神代類！？)』
あ、コスプレ？というか同じ学校名だから、有名だからといってコスプレは……流石に。にしてもクオリティ高い…。
と思っていたら、疑惑から確信に変わる発言と声が。
「またか神代─ッ！ 天馬─ッ！」
「しまった！ 先生がここまで来…っておい！ 先に行くな！！ というか足早くないか！？」
「おや、司くんが遅いだけじゃないかな？」
「廊下だから走れるわけないだろう！？」
声と名前が完全に一致した。
え、なんで。
私は普通に東京メトロに乗って、神高に来た。
確かにあの「プロジェクトセカイ」と同じ名前の高校に通えるなんて、凄く嬉しかったけど。
でも、同じ名前だからといってこんなところに。
『プロセカのキャラなんているわけ、』
「っ！？ 類！ 前！ 前見ろ！！」
「え？あっ…」
前から走ってくる二人を呆然と眺めていると、ドンッと衝撃が走り、身体が後ろへと傾く。
どうやら、類くんの前方不注意でぶつかったらしい。
倒れる…！と衝撃が来るのを待つも、一向に来ることは無かった。
そっと目を開けると、目の前には類くんの顔があった。
『(近ッ…！？)』
「すまないっ、僕の不注意で…。大丈夫かい？怪我はないかな」
『へ、あ、大丈夫…です』
類くんが、私を転ぶ前に支えてくれたようで。
本物の神代類の声…！！なんて悶えながらも、なるべく平常心を装いながらそう答えて、ありがとう と述べて慌てて彼から離れた。
「おや、」と不思議そうに見詰めてくる類くん。心做しか、寂しそうに見えるけど…気のせいかな。
「全く、前を見ろとあれほど…！ 類がすまないな、次から気をつけるようにしっかり注意しとく。」
後から駆け足で駆け寄ってきた司くん。
類くんに溜息をついた後、類くんや私に怪我はないかと確認までしてくれる。
優しさまで確りと公式に…。
すると、授業が始まるチャイムが鳴り始めた。
「まずい！ 急ぐぞ類！」
「嗚呼、改めてすまなかったね。」
司くんたちはそう言って再び走っていく。
『…あっ、私も行かないと…！』
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作者名：ゆゆ | 作成日時：2024年1月14日 17時
