【忍たま】【短編集】きみと一緒にいるだけで (ページ9)

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鬼蜘蛛丸ページ9

あなたは16歳(第三共栄丸さんのめいっ子)という設定です！

お手伝い&遊び目的(主に後方)で、私は小さい頃から兵庫水軍に来ている。

第三共栄丸おじさんはもちろん、疾風さんや由良四郎さん、義丸さんら皆が優しくしてくれる。

特にお世話になっているのが、鬼蜘蛛丸さん！

陸に上がるとヘロヘロになるけれども、海に出たらまるで別人のように凛とするのだ。

私を抱き上げて船の縁に腰かけさせてくれたり、忙しい中で水浴びに付き合ってくれたりなど、鬼蜘蛛丸さんは男らしさと同時に面倒見の良さも兼ね揃えていた。

私はそんな鬼蜘蛛丸さんが一番好き。

でも最近、大きな悩みが一つできた。
それは4、5歳くらいのカメ子ちゃんという女の子が、彼と仲良くしていることだ。

そんな小さな子にやきもちを抱くなんて、我ながらどうかしていると思うけれど…二人が楽しそうにしているのを見ると、心がズキッとする。

「ふぅ…」
「どうしたんだ？ため息なんかついちゃって」
「あ、噂をすれば」

鬼蜘蛛丸さんだ。そうか、今は船で海に出ているんだった。

「何か悩み事か？俺で良ければ、相談に乗るぞ」

まさかあなたの事だなんて、口がさけても言えないよ…。

「別に何もありませんよ？」
「嘘だー！顔に＂嘘＂と書いてあるぞ」

と、鬼蜘蛛丸さんは私の隣に座った。

「何もありませんって！」
「そうか？…俺はAに隠し事なんて一つもないぞ」
「え、そうなんですか？」
「ああ。なんせお前が幼い頃から、ずっと一緒にいるからな」
「…そこまで言うなら…」

私はカメ子ちゃんのことを話した。すると鬼蜘蛛丸さんはブッと噴き出し、

「そんなことかあ！」

とゲラゲラ笑った。

「だから言いたくなかったんですよ～」
「はは、ごめん。安心しろ、あの子は妹みたいな目でしか見ていない」
「本当に？」
「本当だよ！」

だって、と鬼蜘蛛丸さんは私の太ももに頭を乗せ、言った。

「こんなこと出来るの、Aにだけだ」

彼の手が伸び、私の顔の輪郭をそっと撫でる。

「随分と大人っぽくなったなぁ」

よいしょと起き上がり行こうとする鬼蜘蛛丸さん。

「あのっ！もっと時間がたって私が一人前になったら、お嫁にもらってくれますか！？」

あれ、私何を…。

「お前が一人前になれるのかな～」
「え」
「冗談！…待ってるよ」
「！はい！」

鬼蜘蛛丸さん。絶対私、立派なお嫁さんになるから！