【WT】貴方と紡ぐ【短編集】 (ページ9)

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sm/すまいる※ ページ9

※一部R-15表現を含みます。
18はセンスないので書けません！！！

まずい。まずいまずいまずい。

時計は無情にも18時を指そうというところ。家までは走っても3分かかる。まずい。
久しぶりの飲みだからと、油断してしまっていた。

路傍の人々に脇目も振らず全力ダッシュを決め込み、なんとか家まで辿り着く。無機質なマンションの一室、ここで私は、彼と同棲しているのだ。
未だ整っていない呼吸でドアノブに手をかけ、恐る恐る押してみる。

『…なんだ』

しかし、そこには誰も居なかった。
考えてみれば、経った数分過ぎた程度で、玄関で待ち伏せし憤慨する…だなんておかしな話だ。いくら愛情深い彼とはいえ、少々被害妄想が過ぎたかもしれない。

同棲に際して、彼といくつか約束を交わした。
食事は必ず二人で共にとること、客は招かないこと、同じベッドで寝ること。
そして、如何なる理由であれ18時までには帰宅すること。

大学生の門限が18時だなんて、友達から聞いたら恐らく別れるよう推奨すると思う。だが、それは私を想ってくれている故の行動であり、むしろ問題があるのは彼を不安にさせてしまっている私だ。文句をつけるなどもっての外だ。

靴を脱ぎ揃え、廊下を進み、リビングに面したドアを開ける。生活しやすさを重視した温かみのある部屋のソファに、彼は腰掛けていた。
相変わらずSNSがお気に入りのようで、私が帰宅したことには気がついていない様子。
音を立てないよう慎重に荷物を片付けると、忍び足で彼に近づいた。