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予想その1。飲みが入った。
顔の広い彼女ならありうるが、それにしては文面が簡素過ぎる。却下。
予想その2。急激に気分が萎えた。
これまた有り得る話だが、彼女の事だ。どうせ俺を呼びつけることは変わらない。そのまま飲みにでも連れ回される方が考えるに易い。支払いをするのは俺だが。
予想その3。ほかのセフ レが先にきた。
…妥当。
頬を吹き付ける風で我に返る。俺はドアノブに手をかけたまま、ずっと静止してしまっていたようだった。吐く息が冷たい。このままでは体調を崩してしまうだろう。行き場を失った鍵はそのまま鞄に仕舞われ、俺の体も家へと仕舞われていった。
彼女は実に効率主義だ。
満たしたい時すぐ満たせるよう、環境を整えているのは当然のこと。先に連絡していた他の男が家に到着したのだ。ただ、それだけ。
靴も脱がず、狭い玄関に腰を下ろした。メッセージ画面を眺めても、もう何も知らせてはくれない。
「今頃…」
そう想像をしようとして、止めた。根拠の無い推量は何も生産しない。時間の無駄である。急遽入った予定が無くなった。1時間前の状態に戻っただけだ。なにをそこまで思い悩む必要がある。なにを。
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作者名:えん | 作成日時:2023年9月26日 17時