今日:23 hit、昨日:45 hit、合計:13,190 hit
小|中|大
br/おはよう ページ2
「おはよーA!今日もいい天気だねぇ」
男がカーテンを開けると、太陽の弱々しい光が部屋に注ぎ込み、"A"と呼ばれた人物を照らし出した。光は届いているはずなのに、睫毛の1本すら微動だにしない。
「ふふ、相変わらずお寝坊さんなんだから!」
言葉では咎めながらも、声色は弾んでいた。男はベッドに横たわる"A"に近づき、愛おしそうにその人物の頬を撫でる。浮かべている表情は、まるで宝物を手に入れたかのような無邪気なこどものようだった。
「ね、今度はどこに行こっか!僕、Aと遊園地とか行きたいなあ。だって絶対楽しいもん!」
Aもそう思うよね!と同意を求めてみるが、"A"はただ瞼を閉じているだけ。
それに気がついていないのか、はたまた気がついていないフリをしているのか。男は返事がないことを気にも留めず、呑気に叶うことの無い空想を語っている。
「ね、A」
ずっと、ずーっと一緒にいようね。
男の口角がにやりと上がる。
それは、男に見初められてしまった"A"への、呪いの言葉だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
90人がお気に入り
90人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えん | 作成日時:2023年9月26日 17時