with you3 【Kazuma.k】 (ページ18)

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「…見惚れた？」
「てない！！！！！！絶対ない！！！！」
「はは、ほんまに可愛えなあ。素直じゃないこのお口は」
「む！！！！」

綺麗な指先に頬をつままれて言語の自由を奪われる。
あれ、とっても素敵な笑顔ですけどすいません割と力が入ってますよ、あれ、ねえ、壱馬さん、おかしいなあ。

言葉にできないが抵抗の意を示していると、散々弄られた後に、離れたと思った指先はゆっくりと頬をなぞる。
久しぶりに見たとびきりのご機嫌な笑顔で自分の分のと私の分のコップも手に立ち上がって流しに向かう。
濯いでくれている後ろ姿を、お礼も忘れてぼーっと眺めていたら、だんだんと力んでいたそれが解けてきて、ふと長い1日の終わりを感じた。

寝て、起きたら、この生活も終わりなんだ。
みんなと一緒に過ごすことももう、なくなる。

「んじゃ、寝ますか」
「あ、じゃあおやすみなさい、また明日」
「ん、だから行こうや」
「ん？え？」
「俺の部屋とAの部屋どっちがええ？」
「ハイ？？？」
「あ、でももう俺の部屋ほぼ空や」
「えーーーっと？」
「Aの部屋でもええ？」
「ちょっと待って、全然わかんないです」
「一緒に寝るだけやから」
「寝る？？寝るだけ？？？」
「何もせえへん。多分」
「多分！？」
「はは、嘘やって。何もしない、約束する。だからAの部屋で寝させてくれへんかなあ？」

態とらしく低く甘えたような声で、強請るように小首を傾げるその姿に、有無を言わせぬ何かを感じる。
…もしこれを惚れた弱みと言うのならば、多分私は一生壱馬くんの言いなりだ。

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