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そこにはあからさまに、プラネタリウムを口実にカップルがイチャイチャする為だけに作られましたと言う説明書きさえ見えてくるようなカップルシートが鎮座していた。
雲をイメージしているのかと思えるような真っ白なフカフカのベッドシートとクッション達。
一体かの有名なアーティスト、吉野北人はどんな気持ちでこちらの席を予約したのか問い詰めたい気持ちもあったが、最後の我儘に付き合おうと決めた手前、些細なことに口を出すのは止めにした。
ここまできたら気にするよりも楽しむんだ、うん。
先にそこにダイブして嬉しそうにしてる北ちゃんに続いて横になる。
確かにふかふかで見上げた空には、まだ星は瞬いていないけど、こんな風にリラックスして見られるのって確かにすごく、いいかもしれない。
「いいでしょここ」
「うん、気持ち良すぎて寝ないように気をつける」
「寝てたらデコピンしてあげる」
「北ちゃんのデコピンなんかじゃ起きれなそう」
「うっわ、じゃあやってみる?」
「あ、ほら始まるよしずかに〜」
「Aのくせに!」
マスクの下に薄い唇を尖らせているのであろう北ちゃんを尻目に、会場内に響く上映アナウンスに耳を傾ける。
周りから聞こえる話し声も減っていきだんだんと暗くなる会場に、少しずつわくわくした気持ちが膨らんでくる。
何故か天井を見るではなく、横から突き刺さっている視線は気にしないこととしたけれど、暗闇に紛れてこつんと当たってからぎゅっと握られた左手には意識を向けるなと言う方が無理な話だった。
……ああ、これ無事に最後まで見れるだろうか。
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ミラン(プロフ) - 壱馬のデレ感がたまんないです!続き楽しみにしています! (2022年2月7日 11時) (レス) @page18 id: 2b4fe2f5e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:も。 | 作成日時:2020年12月20日 21時