with you3 【Kazuma.k】 (ページ14)

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「気付いてへんフリしてるのも、芸能人とか一般人とかAが気にしてんのもよおく分かっとる」

「けど、俺はAのこと好きや、ずっと絶対に変わらへん。Aが寮母じゃなくなっても、距離があっても、どこで何してても、ずっと好きでおる自信があんねん」

「せやから伝えへんまま終わる方が気持ち悪いなと思って、でも伝えるだけで満足なんてこと言うつもりもあらへんから。ちゃんと、Aの言葉で聞かせて欲しい」

浴びせられる言葉たちは全部真っ直ぐで、真っ直ぐに向き合うことから逃げている自分も、自分の身を守る為だけに正当化しようとしている自分も、全部、恥ずかしくなった。

きっとこの先に思いのままに進んでいけば世界が変わってしまう。それは私だけの問題じゃない。
むしろ私より壱馬くんの方が重荷を背負うことになるのに、こんなにストレートに思いを伝えてくれている。
なのに私は。

けど今更、どんな顔で、どんな風にそんなことを伝えろと言うのか。
そんな高度なことを私はこの平々凡々な人生の中で一度も教わってこなかったし、試すような機会だってなかったのだ。

「A、俺のことどう思っとる？」
「…私なんかにそんなこと、」
「俺とAだけのことしか考えんで。他は何も関係あらへん。どう思ってるかだけ、ちゃんと、教えて」
「…いや、でも」
「A」

紡がれた自分の名前は、この世の何よりも特別なものに感じられて、苦しいほどに胸が締め付けられる。

優しく弧を描いているはずなのに、どこか強張って見える目の前の薄い唇が脳裏に焼き付いて離れない。
私の気持ちなんてその先の行動なんて全部、全部分かってる癖に言葉にさせようとするなんて、この男はどこまで決定打を求めるのか。

「俺はこれから先もずっと、一生変わらへん。Aのこと好きやねんけど、Aは？」
「私、は、」
「Aは？」
「す…」
「す？」
「ううううう、」
「こっち見て。ちゃんと、言うてや」
「すき……かも、」
「じゃなくて？」
「す、すき…」

絞り出してしまった言葉に、すぐに後悔とパニックに襲われる。
壱馬くんの顔を見れない、いや普通に考えて見れるわけがない。
自分の言葉に相手がどんな顔をしているかなんて想像してしまいそうになるよりも早く、いざ口に出してみたら自分の言葉を取り消してしまいたい気持ちに苛まれた。

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