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薄暗い部屋の中で分かるほど、整った顔が間近にある。
綺麗な顔だよなあ。
まあ他のみんなもそうだけど。
心中で独りごちながら勝手に見惚れていると、男の人にしては綺麗な手がすっとこちらへ向かってくる。
思わずその行く先を他人事のように辿ると、それは私の首先に触れた。
びくっとして首をすくめてしまう。
その後にヒヤッとした感触。
壱馬くんの手が冷たいのか、私の体が熱を持っているのかイマイチ分からない。
まだ下がってへんな、ぼそりと呟くと今度はその手を私の顔へ近づけてきた。
反射的に思わず目を瞑ってしまう。
今度はなんだ。
つい身構えるけど、人肌に触れられた感覚はどこにもなくて、代わりに額から生温かいものが取られていく感覚。
ずーっと前の懐かしい記憶だけど覚えがあるこの感じ。
目を開けてみるとやっぱり壱馬くんの手には、私の額から取ったのであろう冷却シートが握られていた。
ぽいっとそれをゴミ箱に放ると新しいの持ってきたる、と今まで出会った中で一番の優しい笑顔を見せられる。
「いやあの壱馬くん…」
「食欲あるん?」
「え、うんまあ…」
「じゃ、ちょっと待っとき」
優しすぎる瞳で見つめられながら、頭をぽんぽん撫でられる。
私の言葉は全部無視されているというのに、そんなことをされたら何も言えなくなってしまう。
すっかり壱馬くんのペースに持ってかれた私は、彼が部屋を後にするまでついぞ身動きが取れなかった。
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ナイロン(プロフ) - はじめまして!お話楽しく読ませて頂いています!最近RAMPAGEを好きになったばかりで作者さんの仰っていた占ツクに作品が少ない理由を知らないのですが、教えていただけませんか…? (2019年11月19日 15時) (レス) id: 0dbb836090 (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - 紗綾さん» はじめまして〜!ご指摘ありがとうございます!実は今は読みやすさ重視で行間開けて書くようになったりしているのですが、何卒はじめの方の話にまで修正の手が回っていなくて…すみません。時間のある時に修正させて頂きますね! (2019年6月1日 13時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
紗綾 - はじめまして(*^^*) いきなりすみません...。 物語読んでいて思ったのですが...。 0-2のここの台詞が被ってるから行間隔が詰まっているのでしょうか? 「暇でしょ」 「…まあそうともいうけど」 行間隔が詰まっていると読みにくいので あけてはどうでしょうか? (2019年5月28日 17時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
はる子(プロフ) - ゆあさん» ありがとうございます( ; ; )なるべくできるよう頑張りますね! (2019年3月13日 10時) (レス) id: d6e6231860 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ - 更新待ってます (2019年3月13日 3時) (レス) id: 0eaf3d3c12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:も。 | 作成日時:2019年2月21日 12時