高校時代に舞い戻りまして【稲荷崎】

10：占い師 ページ11

▽．





「ここは？」


『あ、えっと、そこは．．．．デス』


「なんで固いの？」


小さく笑う角名くん



この数日間で分かった


角名くんはそうとう頭が切れる人らしい


これ以上弱味を握られたら大変だと私の本能が察知したからです、とは言えず




『え、いや、アハハ。緊張してるのかな〜』


「同い年なんだし、軽く話してよ」



ふわり、と笑う角名くん

クラスの子たちが騒いでた“角名くんの色気が半端ない”っていうのはこういうことか




確かに、角名くんってイケメンだよなあ……


なんて考えてると角名くんとバチリと目があう



そして、反射的に目を反らす


角名くん、人の気持ちをすぐ読みとるから



．．．前世はエスパーとか使えちゃう系の占い師とかだったのかもしれない

大きな水晶玉に手をかざして何かを占う角名くんを頭に思い浮かべて、クスクスと笑う



「どうしたの？」

『角名くんって、前世占い師だったりする？』


思わず心の中で思っていたことをそのまま言ってしまい、はっとする



目の前にはきょとんとして固まる角名くん

．．．．．


やばい


やってしまった

そりゃそうだ、なんの脈絡もなくこんなこと言われたら誰だって固まる


うう、沈黙が辛すぎる

完全にやばいやつ認定である





しかし、数秒の沈黙ののちに突然角名くんは笑い出した


「オッホホ」


てっきり冷酷な視線を投げかけられると思ってた

てか、笑い方特徴的だな





「……やっぱり面白いね、Aさん」







．







その後は、あまり勉強しなかった


少し前の固い空気とは一変、私たちはだいぶ打ち解けた(ような気がする)


話してみると思ったより楽しく、会話が弾んだ

同じ標準語だし、バレーという共通のスポーツをやっている





この放課後で角名くんとの距離が一気に縮まったように思う




「じゃあね、A」



『バイバイ角名』





．

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