検索窓
今日:4 hit、昨日:12 hit、合計:57,986 hit

130:覚悟 ページ38

▽.




転ぶ、そう思った瞬間誰かに抱きとめられた


ふわりと私を包み込む手は温かい


この感じ、懐かしい

慌てて前世の記憶を振り払う

違う、懐かしいけどちょっと違う

あの人よりも不器用でそっけない


でも、私が大好きな人


『侑…!』

「あっぶないやろボケ!勝手に離れんなや!」

安心したのも束の間めっちゃ怒られた

離れたのはそっちじゃん、なんて心の中で言い訳しながら項垂れる

『う…、ごめんなさい』

「…ああ、くそ、謝れってことやないねん!
 ……心配したわ、ボケ」
『ごめん』
「…‥あいつらも心配しとるから、早く行くぞ」
『うん..って、あ!鼻緒切れてるんだった』
「は?! 歩けんのか」
『む、むり』

どうしよう、侑を見上げる


「はぁ......しゃあない、おぶったるわ」

『え?おんぶ?』

「恥ずかしいとか人の目気にしとるんなら置いてくからな」

いや、多分侑が想像してる恥ずかしいとは別の恥ずかしいなんだよ...

でも、このまま置いていかれる訳にもいかないし有り難くのせてもらう


ぎゅ、と首に手を回すとさらに体が密着する

胸の鼓動が侑にも聞こえそうで恥ずかしい

どきどきしながら侑の背中にのって、人が少ないベンチまで来た


そこに私を下ろすと何やら検索しだす侑

「それ貸せ」

それって下駄のこと?と不思議に思いながら渡す

少ししてから、できたと声が降ってきた


『え、直ってる、すご』

何で直し方知ってんの…、と思ったらスマホのページを見せてくれた

あ、直し方検索してくれたんだ


『あ、ありがとう』

そういうと、侑はその下駄を私の足のところにそっと持ってきて、履かせてくれる


まるで、シンデレラにでもなった気分

ぶわぁと顔が赤く染まるのが分かる


私が立ち上がったのを確認して、みんなの方へ向かおうと歩き出す侑

待って、これって絶好のチャンスじゃない?

これ逃したら、二人きりになれない



『ま、待って!』

腕を慌てて掴む

鼓動がどんどん速くなる

本当に侑にも聞こえてるんじゃないか、というほど大きくなる心臓の音


『あ、あの』

声が震える

やっぱり怖いよ、角名

なんでもない、行こう、そう言えたらどれだけ楽なんだろう

でも、それじゃ後悔するから







傷つくなら、言ってから傷つけ







『私、侑のことが好き、です』




どくん、と大きく心臓がはねた




.

131:幸せ→←129:花火大会



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
646人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

初月(プロフ) - ユキナさん» ありがとうございます!!更新がんばります! (2022年2月9日 17時) (レス) id: d18d3b542f (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ(プロフ) - 最初から読み始めておもしろくてすぐ読んじゃいました!!更新頑張ってくださいね! (2022年2月5日 23時) (レス) id: fcc38ebda0 (このIDを非表示/違反報告)
初月(プロフ) - おもちさん» えぇ...嬉しいです(泣)ありがとうございます!頑張ります!! (2021年9月28日 17時) (レス) @page24 id: 35c19a5e2a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - この作品ちょー好きです!!これからも応援してます!! (2021年9月24日 20時) (レス) @page21 id: 0550ba15c4 (このIDを非表示/違反報告)
初月(プロフ) - 凛/月影/霖さん» ありがとうございます!!ここからの展開はもう決めてあるので、どんどん更新予定です! (2021年8月20日 11時) (レス) id: 35c19a5e2a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:初月 | 作成日時:2021年8月17日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。