黄金時代に舞い戻りまして【稲荷崎】

120：片割れ＋ ページ28

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好きになったのはいつからか

そんなことを聞いてくるやつが、この世界には結構おる


別にそないなこと覚えとらんし、いつからなんて対して重要やないやろ、とそんな台詞を聞くたびに思う


でももし、その瞬間があったとすれば“あん時”かなあと、ボンヤリ考える



確か２年の夏ごろ、皆で勉強会しとった時


いや、正確に言えばAと二人で買い出しに行ったとき



“うん！バレー大好きだから”



あの時のAの真っ直ぐな目と、無邪気な笑顔


そこまで、特別な何かがあったわけやなかったんに


胸がとくんと少し高鳴った









で、今に至り告白したわけやけど


「あーあ。フラれてもた」


正直、フラれるなんてあんまり考えてなかった


いや、自意識過剰とかやなく


“聞いた”から。はっきり、この耳で



“Aってさー、治のこと好きでしょ”


全部聞いてしまったから


そんときは別に、直接何か告白をされたわけとちゃうかったし、聞かなかったことにしようと割りきった


ちょこっと仲いい女子、くらいにしか思っとらんかったし



だからか好きと自覚してからも、割と余裕な気分だった


両思いだと、安心しとった


でも、遅かった

もう少し早く伝えていれば、そんな後悔がよぎる


過信して余裕ぶっこいて、フラれるとかダサすぎるやん、俺





多分、多分やけど、あいつの好きな人は分かる気がする


片割れとしての勘っちゅうやつ


「遅かったやん、治(サム)」

「あ？なんでもあらんわ、くそ侑(ツム)」

「は？何イライラしとんねん」



思えば、先に仲良くなったのは俺やのに、なんか名前で呼びあっとるし


ほんまにこいつには敵わへんわ、くそ






「くそったれ」


布団ね上で呟いた






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