119：バカ※大幅訂正 ページ27
▽．
合宿はどうだった、とか夏休みの宿題やってない、とか
そんな他愛ない話をしながら駅の改札をでた
この駅、というのは私の最寄駅である
治の最寄駅はここから少し先だ
なのに、わざわざ家まで送ってくれるという
暗くて危ないからだそうだ
まだ夏真盛りで、日は長いのに
治だって、合宿最終日で疲れているだろうに(ちなみに私は足がパンパンだ)
なにか話したいことでもあるのだろうか
そう思った私は申し訳ないと思いながらも、大人しく送られている
家の前に着いて、ありがとうと改めて言おうと治の顔をのぞく
治はいつになく真面目な顔だった
「A」
名前を呼ばれた瞬間、なぜだか体が金縛りにあったかのように動けなくなった
「俺、Aのことが＿＿」
そこで、治は決意したように息を吸った
私は、ごくりと息を飲み込んだ
治の整った口が開き、言葉を紡ぐ
あまりにもいきなりで、頭は混乱していたけど、確かに聞こえた
“好き”
前を通りすぎようとしていた車が、ゆっくりに見えた
視線を治に戻すと、顔がほんのり赤にそまった治がいた
「俺と付き合ってください」
そう言った治の手は微かに震えていた気がする
嬉しくて、でもどこか夢のようで
心臓の巡りは速いのに、呼吸は深く長かった
嬉しいのに、願っても見なかったはずなのに
いまだにボンヤリとした頭に浮かんだのは
“なんか違う”
その言葉だった
なんで違うのか、最初は全然分からなかった
でも、治の顔をみて、震える声で断りの言葉をいって理解した
私の“今の”好きな人
一人になった道の上で空を見上げた
時折頭にちらつく金髪のアイツ
私は今まで、過去に縛られすぎていたのかもしれない
私は治のことが好きなんだと思い込んで、言い聞かせて
この二回目の人生を生きるなかで治との復縁というのは目標であり、一種の使命のようなものでもあった
本当は心のどこかで気づいてた
昔の私と今の私は違うって、まったくの別人だって
過去の私や前世の私は、今日の私の行動をどう思うだろう
バカなことしたね、と怒られるかもしれない
でも、もう過去には縛られないから。何て言われようとどうでもいいや
今からが本当の二回目の人生だ
新たな人生の出発を祝うかのように、風が私の背中を押した
．
12.21訂正
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初月(プロフ) - ユキナさん» ありがとうございます！！更新がんばります！ (2022年2月9日 17時) (
レス) id: d18d3b542f (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ(プロフ) - 最初から読み始めておもしろくてすぐ読んじゃいました！！更新頑張ってくださいね！ (2022年2月5日 23時) (レス) id: fcc38ebda0 (このIDを非表示/違反報告)
初月(プロフ) - おもちさん» えぇ．．．嬉しいです(泣)ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年9月28日 17時) (レス) @page24 id: 35c19a5e2a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - この作品ちょー好きです！！これからも応援してます！！ (2021年9月24日 20時) (レス) @page21 id: 0550ba15c4 (このIDを非表示/違反報告)
初月(プロフ) - 凛／月影／霖さん» ありがとうございます！！ここからの展開はもう決めてあるので、どんどん更新予定です！ (2021年8月20日 11時) (レス) id: 35c19a5e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：初月 | 作成日時：2021年8月17日 9時
