黄金時代に舞い戻りまして【稲荷崎】

112：片割れ ページ20

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きゃーっ、そんな甲高い女の歓声が聞こえる


くっそ、こちとら面白メガネ探しとる最中やねん、だまっとれや

と、内心舌打ち


てか、なんなん？面白メガネて




「侑ー！！あったでー」


まさかと思ったら、クラスのやつが面白メガネ片手に走ってくる

そいつによると、隣のクラスのやつが記念写真とる時につけようと、ふざけて持ってきたらしい


．．．いや、なんでやねんっっ！


まあ、ありがたいんやけど



「あんがと。助かったわ」



絶対治(サム)には負けへん、そう思って走り出すと少し先の方に治(ヤツ)はいよった


なんや女抱えとるん？楽勝やん




そう思い徐々に距離を縮めると、だんだんその女が見えてきて


「は」


後ろを向いたAと、がっつり目が合う



ゴールの後に見えた治(サム)のお題




“大事な異性”


ああ、なんやそういうことか


視界のすみで楽しげに話すAと治(サム)



．．．両思いやん、完全に



「くっそ」


ほんまにムカつく

地面を蹴って八つ当り







『侑っていつもタイミング悪いよね』

「なんやと？！」


会話に割って入っても、こいつが見とるんはきっと俺の片割れ




「なしたん侑(ツム)。イライラしよって」

「あ？なんでもあらへんわっ！」


ほんまにかなわへんな、こいつには


でも、諦めるとかあり得んし



「覚えとれよ、クソサム！」

「はあ？いきなりなんやねん」




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