黄金時代に舞い戻りまして【稲荷崎】

110：既視感 ページ18

▽．




そして迎えた体育祭当日


私は特にやることがないため、ボランティアとして放送席の手伝いをしていた



『次は、借り物競争です。選手のはスタンバイを＿＿＿』





．




「おっ！兄弟対決や」


借り物競争もあと一組で終わりだという頃、隣の同じ放送係の子が呟いた


スタートラインを見てみると、宮ツインズがにらみ合いながらスタンバイしてる



．．間に挟まれた子が可哀想すぎる


めっちゃ肩身狭そう



そうこうしている間にスタートの合図が鳴り響き、皆が一斉にスタートする


．．あ、二人ともスタート遅れた


なんて、呑気に心の中で実況していると、こちらへ向かってくる銀髪





．．．．なんか凄い既視感






「A」


そう言って差し出される手のひら


『えーと、私？』


「おん」


ですよね！！




『私、あんまり早く走れませんよ？？』


そう言うと宮は、少し考えるそぶりを見せた後に


「乗って」


と、背中をむけた


．．．おんぶってことだよね




少し渋ったが、私が乗らなきゃ宮の順位にも響いてしまう



恐る恐る乗ると、“堪忍な”の一言と共に一気に走り出す宮


え、はやっ


落ちないように必死に背中に掴まる



どうしよ、昨日いっぱい夜ご飯食べちゃった


朝ご飯抜いてこればよかった．．．





耳に突き刺さる女子の悲鳴ともとれる歓声


突き刺さる鋭い視線



少しの申し訳なさと、優越感が入り交じる




髪をなびかせる風が気持ちよかった






．

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