第127話 "焚火に照らされながら" ページ31
・
「結構、結構！大量・大漁！」
Aは両手いっぱいの果実と、在り合わせで作った槍に何匹かの獲物をぶら下げながらイスカの下へと戻ってきた。日が水平線に輪郭を重ねている。早く火を焚いて夜に備えなくてはならない。
火起こしは手馴れたもので、早急に日の準備を整えるとそのまま焚火でさばいた獲物の肉を焼いていく。船に積んであった鍋で簡単な煮込み料理を作りながらもぎたてのフルーツをかじっている。この姿を見て王女様だと気づく人間はいないだろう。
ふと、隣で眠るイスカを見つめるA。先ほどから夢の気配を感じて肌がピリピリとする。入ろうと思えば簡単にイスカの夢の中へ入れるだろう。そして彼女の記憶をさかのぼることも容易だ。
「でも…こういうのって勝手にやるのは、ダメだよね。」
「いいのか？私の記憶をのぞかなくても？」
「イ、イスカ今起きたの？」
「ちょうど目が覚めてしまって…A、時々私のほうを見て悩んでいただろ？エースと私の関係を気にしているんじゃないのか？元海兵が海賊を助けに行っている時点で確かにおかしな関係だが。」
火に照らされるイスカの顔はどこか懐かしい場所を思いやっているようで、その表情はとても美人で魅力的だとAは思った。そして、そんなイスカがエースを救うために今動いているということを、Aはとても気にしていた。二人の関係はただの海兵と海賊、ではないのだと。
「うん。こんな美人な知り合いができたこと、エースは教えてくれなかったし、なんでイスカが、かつては捕まえようとしていた海賊を今は助けようとしているのか…気になっちゃって。」
「ははは、Aは正直だな。…っと、A、Aと王女様を呼び捨てにしていつの間にか乱暴な口調で話してしまっていた。申し訳ない。」
「あ、全然気にしなくて大丈夫！私のほうもイスカって呼び捨てていたし、そのままでいいよ。」
「ありがとう。えぇっと、私とエースの関係について、だったな。」
イスカは少し黙って考え込むと、ぷっと笑う。
「いや、すまない。自分でもおかしな関係だと思ってな。私は確かにエースを捕まえようと追いかけまわしていたんだよ。ある日には霧のなか周囲を包囲し、エースの身体にこの剣を突き刺したこともある。まぁ、
イスカはエースとの思い出を丁寧に言葉にしていった。
・
第128話 "胸のざわめき"→←第126話 "予定外の上陸"
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あむさぎ(プロフ) - 撫子さん» コメントありがとうございます！！とっても嬉しい言葉を頂けて…はい！がんばります！！ (2021年1月27日 23時) (
レス) id: b3e4a8557d (このIDを非表示/違反報告)
撫子(プロフ) - 早く続きが読みたくなりました。応援してます。頑張って下さい。 (2021年1月25日 23時) (レス) id: c1d82146a2 (このIDを非表示/違反報告)
あむさぎ(プロフ) - かなでさん» コメントありがとうございます！イスカ登場させたいと考えていたので無事に登場出来て良かったです！はい！頑張ります！ (2021年1月25日 18時) (レス) id: b3e4a8557d (このIDを非表示/違反報告)
かなで - イスカ大好きなので、登場する小生があってめっちゃ嬉しいです！これからも頑張って下さい！ (2021年1月24日 9時) (レス) id: dda8ded754 (このIDを非表示/違反報告)
あむさぎ(プロフ) - ノノさん» そうなりますね！ちょっとワクワクします！大学の課題で手いっぱいでなかなか更新できてませんでしたがすこしずつ書き始めます！ (2020年6月18日 11時) (レス) id: b3e4a8557d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2020年5月30日 16時
