第123話 "見送る覚悟" ページ27
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「私の力…？」
「説明する時間も惜しい。本来ならばこの島へはもっと前にたどり着く予定だった。だが突然の竜巻に遭い、食料を失い、海をさまようことになってしまった。」
ヒューダがバツの悪そうな顔をする。
「あなたの力があればエースを救い出せる可能性がわずかに高まるんだ。しかし“わずか”だ。こんな可能性のために、命をかけてもらえるだろうか。無理な提案だとは…。」
「命をかけられる。エースを救う可能性があるのなら！」
イスカの言葉に前のめりに発言するA。エースを救いに行くということは海軍の全勢力に立ち向かうということ。戦争に巻き込まれるということ。100通りの道があってもそのほとんどは死へつづく道だ。
発言してからAはハッとする。
「あ、でも私はこの島を…。」
「A。良いのだ。」
王様が初めて口を開く。その声にAは肩を弾ませ驚く。今まで目の前の情報に集中するあまり王様とヒューダの来訪に全く気が付いていなかったのだ。
「お父様。でも、私はこの島を守る役目があります。簡単に決断していい立場ではない。」
「だが、エース君を助けに行きたいのだろう？もし、今行かなかったらAは一生後悔することになるんじゃないのか。それも心を壊してしまうほどの深い後悔を…。」
「それは…。」
うつむくAのダランと下げられた腕をヒューダが頭で押し上げる。そして自分の身体をこすりつける。
「島の守り神となったヒューダは、もうお前の助けが必要な子供ではない。成鳥となり、その力は歴代の守り神のなかでも圧倒的だ。ヒューダの成長はAが一番わかっているだろう？」
「ヒューダ…“俺がいるから大丈夫だ”って言ってるの？島のことは任せろって？」
「ピュイ！」
Aの言葉を肯定するようにヒューダが鳴く。その声にAは目を潤ませ、ヒューダの頭を抱きしめる。
「ヒューダ…ありがとう。…お父様も、ありがとう…。」
少ない会話のキャッチボール。しかし、その背景には積み重ねられた思い出と、信頼と、覚悟がある。たった数回の会話で、旅立ちと見送りの覚悟を決めたのだ。
「イスカ、時間がもったいない。私たちに残された猶予と必要なものを教えて。」
イスカは目の前の出来事についていけずにいたが、Aに声をかけられ、すぐに反応する。
王女の人生で2回目の旅立ちが決定した。
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あむさぎ(プロフ) - 撫子さん» コメントありがとうございます！！とっても嬉しい言葉を頂けて…はい！がんばります！！ (2021年1月27日 23時) (
レス) id: b3e4a8557d (このIDを非表示/違反報告)
撫子(プロフ) - 早く続きが読みたくなりました。応援してます。頑張って下さい。 (2021年1月25日 23時) (レス) id: c1d82146a2 (このIDを非表示/違反報告)
あむさぎ(プロフ) - かなでさん» コメントありがとうございます！イスカ登場させたいと考えていたので無事に登場出来て良かったです！はい！頑張ります！ (2021年1月25日 18時) (レス) id: b3e4a8557d (このIDを非表示/違反報告)
かなで - イスカ大好きなので、登場する小生があってめっちゃ嬉しいです！これからも頑張って下さい！ (2021年1月24日 9時) (レス) id: dda8ded754 (このIDを非表示/違反報告)
あむさぎ(プロフ) - ノノさん» そうなりますね！ちょっとワクワクします！大学の課題で手いっぱいでなかなか更新できてませんでしたがすこしずつ書き始めます！ (2020年6月18日 11時) (レス) id: b3e4a8557d (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年5月30日 16時
