元彼が知らんうちに転生して俳優になってた

好きなタイプは？相手は？ ページ32

「わかった、Aちゃんの弟子。ゆきだ」

「良くわかったな」

「小悪魔ムーブが似てる」

「いや小悪魔ムーブを鷲見に指導した覚えはない」



不知火フリルと不知火A。

姪と叔母という関係だが、年の離れた姉妹と言えるほど仲は良好だ。

現に一緒のリビングのテレビで恋愛リアリティショーを観ている。

若手トップ女優と元トップ女優という面子だから、見る人が見たらぶっ倒れるだろう。



「フリルは誰推し？」

「MEMちょ。めちゃくちゃ可愛い」

「ああ、可愛いな」

「押し倒したい」

「本人に言ってやれ」

「サイン欲しいな〜」

「……本人に言ってやれ」

「サイン欲しいな〜」

「…………FARMの事務所に寄った時に頼んでみる」

「Aちゃん大好き♡」



大人はもちろん子供にも厳しいことで有名なAだが、身内にだけはゲロ甘い。

「仕事忙しいから娘達よろしく♡」という姉夫婦のお願いを聞いて不知火姉妹のマンションに半同棲するくらいには甘い。

可愛いおねだりの仕方を不知火姉妹に教えたのは女優時代のAだから、ある意味自業自得ではあるが。

フリルはそんなAが大好きである。



「ちゃん呼びやめてくれ。アラフォーになってまでそれはアウトだろ」

「可愛いからセーフ」

「どこが」

「照れてるところ」



事実Aは、芸能界から退いて7年経つのに20代の若々しさと美しさが衰えていない。(ちなみに同類は斉藤ミヤコ)

そうでなくてもポーカーフェイスが崩れてほんのり耳が赤くなっている。

不知火姉妹にとっては叔母の仏頂面が自分達の前でだけ崩れるのが嬉しくて仕方ないのだ。



「Aちゃんの推しは？」

「ここで鷲見以外の名前言ったらダメだろ何もかも」

「確かに」



20代ですらちょっと…と思える程度には守備範囲が至って常識的なAに少年少女趣味はない。



「鷲見以外で強いて言うなら星野」

「私と接点あるからじゃん」

「そうだよ」



アクアを挙げた理由は元カレだからが3割、フリルの友達だからが7割である。

元カレが女子高生達とキャッキャしてるところを観ても案外平気だった。

ゴローの容姿のままだったら事案なので殴ってた。



「私って別れた男に薄情？」

「今のAちゃんの彼氏がヤ○ザだから仕方ない」

「ヤ○ザじゃない」

「やたらイケメンでイケボで刺青あって猫っぽいチンピラからお頭って呼ばれても？」

「そういう男だ」



どういう男だよ。

自分を許せない→←嘘か本当か知り得ない

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