愛してる ページ27
不謹慎だと騒ぐ人間は多くいたが、それ以上に“Aだから”と妙に納得してしまう人が多かった。
演劇で“銀河鉄道の夜”の舞台の時は、演出家の死をも利用し昇華させて
そして来るライブの日。
Aのソロ公演は初めてではないので、特に新鮮さはなくいつも通りの盛り上がりを見せた。
空気が変わったのは最後の曲を歌う時だった。
「この歌は餞別です」
一度目を閉じたAが再び目を開けた時、その黒曜石の瞳に映ったのは
『“Dear Ms.Genius Idol”』
＿＿＿“天才的なアイドル様”＿＿＿
速すぎる英語の歌を全て聴き取れた人間はほとんどいなかった。
だが時折出る“idol”や“Ai”から、このドームで歌うはずだったアイドルグループのセンターの少女を指しているのがわかった。
誰もが1人のアイドルを彷彿した。
しかし目の前にいるのはAだ。
アイドルではなく女優だ。一番星ではなく魔女だ。
その瞳に映るのは六芒星ではなく五芒星だ。
この場にいるどれだけの人間が分かっただろうか。
この歌は、Aがアイに歌ってほしかったものだと。
アイのための歌を、Aが歌っているのだと。
Aとアイが師弟関係にあったことを知る者は雷田くらいしかいない。
おそらくほとんどの者が、いつもの魔女の気まぐれだと思うだろう。
だが、分からなくてもAは一向に構わなかった。
アイへの餞別を、この場を借りて贈っているに過ぎないのだから。
これはあくまでもAがアイを偲ぶためだけの時間であり、A以外がそれをすることは赦されない。
『“I won't allow anyone if it's not you,strongest of all!!”』
奇しくもこの会場にこの歌の、歌詞の関係者は誰一人いなかった。
アイはもちろん、“Aqua”や“Ruby”に当てはまる者も。
友達だったが故の嫉妬や愛、憎しみを抱いていた元B小町のメンバーも。
“不知火A”の感情を誰よりも知る雷田もいない。
この曲はこのライブのためだけのものなので、彼女達に届くことも永遠にない。
それで良かった。
『“I love you”』
アイへの友愛を、アイからの友愛を、誰にも知られたくはなかったから。
“魔女”と謳われた稀代の大女優、Aが芸能界を引退したのは、それから5年後のことだった。
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HANON(プロフ) - ふぉん鴉さん» ありがとうございます！魔女ちゃんのお相手は誰になるんでしょう… (10月21日 22時) (
レス) @page15 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉん鴉(プロフ) - 更新ありがとうございます！！作者さんの立ち位置が自分と似過ぎていて滅茶苦茶分かる！と思いました、丸。 (10月16日 22時) (レス) @page13 id: e0721d2717 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - ふぉん鴉さん» 神作なんて光栄です！頑張ります。ふぉん鴉さんコメントありがとうございました。 (7月23日 12時) (レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉん鴉(プロフ) - 自分の中での神作有難うございます｡ﾟ( ﾟஇωஇﾟ)ﾟ｡これからも頑張ってください！応援してます(oˆ罒ˆo) (7月23日 6時) (レス) id: ecacc3dc55 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - らーさん» 頑張ります。らーさんコメントありがとうございました。 (7月22日 16時) (レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HANON | 作成日時：2023年7月16日 1時
