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ユリ「ねぇ！どうしてっ、そんな、別れようとか言うの？！私は広臣が好きっ！」









俺の肩を掴んで叫ぶ様にそう言ったユリの顔は、涙でぐちゃぐちゃだった。









広臣「…それ、もっと前に聞けたらよかったのかも」


ユリ「え？」


広臣「俺、もう」









お前がそんなに好きでいてくれてるなんて、気付かなかった。



……ごめん。

もう遅いわ。









広臣「お前の事、好きじゃない」


ユリ「…っ、」









声を上げて泣くユリ。

俺は立ち上がって、この家に置いてある私物をそこら辺にあったカバンに詰めた。

このカバン、しばらく見ねぇと思ってたけど、ここにあったんだ。

そっか。それが普通だったんだ、俺達。









最後のTシャツをカバンに詰めた時、後ろからユリが抱き着いてきた。









ユリ「っ、いやっ！別れたくっ、ないっ！」


広臣「ごめん」


ユリ「やだやだっ！」









振り返ってユリの肩を掴む。

そんな顔させてごめんな。

でも俺さ、









広臣「ごめん。俺、好きなやつ出来ちゃった」


ユリ「………えっ？」


広臣「だからごめんなさい。別れて下さい」


ユリ「え、待って。理由ってそれ？」


広臣「…」









俺、

Aが好き。









ユリ「広臣っ！」


広臣「ごめん。今までありがとう。ユリとの時間楽しかった」


ユリ「っ、待って！」









玄関のドアを締めて、渡されてた合鍵で鍵をかけて、ポストに落とした。


追い掛けて来なかったから、分かってくれたのかな。









馬鹿でかい荷物を運んで、近くに見えた小さな公園のベンチに座った。

見上げれば、小さな星がキラキラ輝いてる。









広臣「A…」









初めて会った時は、可愛いな位しか思わなかった。
やたら敬浩さんから、忠告されてたし2人でなんて会う機会もなかった。

でも…なんか目が離せなくて。

東京に早く来いよって、思ってた。

Aの姿を近くで見ていたかった。









広臣「ははっ、」









Aってさ、色んな顔すんのね。
それが面白いんだわ。





同じ店で働く事になって。
喜んでる自分が密かに居て。


相変わらず全力で頑張ってるAを見て、俺も刺激もらったりして。一従業員として。




………違う。多分、最初からAの事が好きだった。









広臣「遅ぇっつーの」









また星空を見上げて想ったのは、
Aに会いたい。
ただ、それだけ。

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