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それだけ言って、何処かへ消えた玲於。

私も残りの作業をしに、事務所へ向かう。

灰皿を洗っていた裕太が気配に気づいて振り返った。

裕太「A、明日休みやんな？」

「うん、そうだよ」

裕太「明日、前に言ってたビアホール行かへん？もちろん玲於も一緒に」

そう言えばこっち来てすぐの時、裕太とそんな話ししたなー。

玲於も明日お休みだったっけ。

『3人休みかぶんの全然無かったから、誘えんかってん』って笑ってる。

あー、玲於も行きたいって言ってたもんね。
よく覚えてたね、裕太。

ちゃんと玲於の事も考えてて、優しいよね本当。

「うん！行きたい！昼からビールとか最高すぎる！」

裕太「な！じゃあ玲於の方はAから聞いといて？」

「おっけー！」

ビアホールかぁ～
楽しみだなぁ！

てゆうか付き合いだしてから一緒の休み初めてだ。

なんか予定立てたりしてたかな…

いや、まさかね。
休みの日くらい、恋人ごっこしたくないか。

「やばい、早く発注入れないと」

発注を済ましてホールへ戻れば、終礼をする為に既にみんなが輪になっていた。

敬浩「よし、揃ったな。今日は…」

終礼なんて上の空でこのモヤモヤの正体を必死で探す。

どうして、臣さんを急に諦められたんだろう。

どうして、玲於の事ばかり考えてるんだろう。

どうして、亜嵐は今のタイミングで好きなんて言ったんだろう。

この歳になってまさか恋愛でこんなに悩むなんて…

思ってもみなかったな……

敬浩「お疲れ様でした！」

「「お疲れ様でしたー！」」

あ、終わっちゃった。

本当何にも聞いてなかったや…

亜嵐「A、」
玲於「A帰るぞ」

「ちょっと待って。亜嵐、何？」

玲於に腕を掴まれたまま、亜嵐の方へ振り返る。

掴まれている腕を見て、一瞬眉を寄せた。

亜嵐「いや、何でもない。お疲れ」

「……お疲れ様」

玲於「おい」

更衣室へ向かった亜嵐の背中を見つめてたら、不機嫌そうな声が降ってきた。

ゆっくり振り返れば、まぁー怖い顔した玲於が居て。

玲於「今、亜嵐くんの事優先したっしょ」

「え？優先って何？」

玲於「俺さ、結構嫉妬深いからそーゆーのやめて」

「何それ」

玲於「帰んぞ」

そのまま私の腕を引いてバックヤードを進んで行く玲於。

嫉妬？私に？意味わかんない。