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亜嵐の指示を待って、更衣室で一人立ち尽くしてたら再び震えた携帯。

うわ、玲於だ…

「もしもし？」

玲於『今どこ？』

「まだ着替えてるけど」

玲於『遅っ(笑)俺、これから飲みに行く事になったから悪りーけど先帰ってて？』

「そ。わかった」

玲於『あ、店の男連中だから心配すんなよ』

「うん(笑)わかったよー、飲み過ぎないようにね」

玲於『それはわかんね(笑)気を付けて帰れよ』

「うん、ありがとう。じゃあまた明日ね」

玲於『おう』

プツッと切れた玲於との電話。

暗くなった画面に、罪悪感がどっと押し寄せてくる…

飲みに行くとか連絡するタイプなんだ。

私は、亜嵐と二人で飲みに行く事言えなかった…

気を付けて帰れよ、だって。

それってまるで本当の彼女に言うみたいじゃん。

ねぇ、玲於。

どこからどこまで嘘をつけばいいの？

教えてよ……

玲於の優しさがたまに辛い……

目頭がブワッと熱くなった時、また携帯が震えて。

見れば〝亜嵐〟の文字。

「もしもし？」

亜嵐『ごめん、遅くなって』

「大丈夫だよ」

亜嵐『無駄に見張りしまくってたら、どこの店入ったかもわかっちゃった(笑)』

「あはは！そんな見張ってたんだ？」

亜嵐『ね！自分でもやり過ぎ感あるもん(笑)もう出て来ていいよ。店の前で待ってんね』

「うん、今行くね！」

亜嵐との通話を切って、バックヤードを進めば更衣室へ向かうであろう店長が前から歩いてくる。

敬浩「なーにおめかししちゃって～」

「してません」

敬浩「玲於とデートか？？」

「デートなんてしないですよ」

やばっ。つい口が滑った。

敬浩「そっか。じゃあ俺とデートしよ♡」

「店長とならいつでもデートしますよー！」

敬浩「うっそーん！嬉しい！でも玲於に怒られちゃう！」

「怒らないですよ、」

危な、店長と話してると素が出ちゃってぽろっと言っちゃダメな事言いそうになる。

こんな関係、聞いたら一番怒るのは絶対この人だから、口が裂けても言えない。

「お疲れ様でしたー！」

敬浩「…なぁ、今度久しぶりに二人で飲みに行こうぜ」

「もちろんです！いつでもお誘い待ってます！」

敬浩「言ったな！玲於理由にして逃げんなよ！」

「逃げませんから(笑)」