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『…あたしは…別に…』
自分のモヤモヤがジリジリと大きくなるのが分かる。
彼に見透かされている事への対抗か、
認めたくないのか、
開けば否定的な言葉を続けようとするあたしの口。
「…腹の中に溜め続けていたってなんも変わらない。
消化不良で手に負えなくなるかもしれない。」
「…いいか、A。
人には伝えなくてもいい事と、伝えなければならない事がある。
伝える事は気力もいるし体力だって削られる。
………でもな、タイミングを一つでも間違えたり、逃せばもう二度と伝える事が出来なくなるかもしれないんだ」
【ぼく達は命に関わる大切な仕事をしているんだよ
奪ったり奪われたりしてね、
…目的は違うけど“守るもの”があるから闘えるんだ】
「今Aの腹の中で煮え切る“それ”は、本当に来るかも分からない“いつか”まで溜めておけるのか?」
『…』
何となく、ヤバい仕事なんだろうなって事はすぐに分かった。
だけどそれについて深く問い詰めたりなんてしなかったし、しようとも思わなかった。
きっとあたしが欲しい回答は返ってこない。
段々と知っていくんだろうと勝手に思い込んでいたから。
みんなの言う“危険”を
大丈夫、なんとかなる。と
その場で過信しながら目を背けていた。
拉致事件の時だってそう、
もしも運悪く銃弾が、刃先が誰かの心臓を貫いていたら____?
『…ぁ……』
全身が凍ったように冷たくなる。
もしも、
もしも、帰ったらみんながいなくなってたら____
もしも、明日が来なかったら____
もしも、
次に目が覚めた時、最初に移るのが前の世界だったら____
『…どう、しよう…』
もう、謝ることすらできないじゃないか。
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作者名:うぃっぷ | 作成日時:2020年10月11日 23時