13.正統派より邪道 ページ13
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10分で準備を済ませたことと、幸い学校と家の距離が近かったこともあり、なんとか遅刻は免れた。
問題はキムジュンギュのご機嫌取りだ。
「ごめんて、ジュンギュ」
ジュンギュ「…疲れた」
先に行けばよかったのに。
この状況を経験したらほとんどの人がそう思うだろう。
私もそう思う。
だいたい私も人のことを言えた義理じゃないが、ジュンギュの体力が無さすぎるのではないだろうか。
体格いいのに、ちょっと走っただけでこんなにくたびれるなんて見掛け倒しにも程がある。
「お!ジュンギュ!久しぶりだな!」
ジュンギュ「ヒョン!久しぶりですね〜」
知り合いの先輩に話しかけられるやいなや、いじけていたジュンギュはどこへ行ったのか愛想笑いを振りまき始めた。
私の前では悪魔以外の何者でもないキムジュンギュだが、大学では優等生を上手に演じていた。
アカデミー賞受賞も夢ではない。
「お!Aも久しぶりだね!」
「あ…はい…お久しぶりです」
「へえ〜お前らまだ一緒に行動してるのか…本当は付き合ってるんだろ?」
ジュンギュ「ヒョン!やめてくださいよ!」
「先輩、男は顔じゃないですよ…」
「ハハッ!よくわかってるね〜」
私の言葉を聞くなり愉快そうに目を細めた先輩は、ジュンギュを見て再び口を開いた
「確かにジュンギュはAのタイプじゃなさそうだもんな〜…Aは正統派より邪道を行くって感じだし」
「あ〜、そうですね〜」
邪道?邪道って何だ?
予想だにしない言葉に私はとりあえず同意することしかできなかった。
「あ!教授来た!んじゃ、お前ら頑張れよ!」
何を頑張れというのか…
先輩は教授が入室するのを確認して、自分の席へ戻った。
邪道…
私が高校時代あの人を好きだったことも邪道なのだろうか。
いや、どちらかと言うと彼は正統派だったと思うけど。
そんなことを考えて上の空になっていると、刺さるような視線を感じた。
視線の持ち主であるジュンギュに顔を向ければ、ついさっきまで睨んでいたくせに目が合うとそっぽを向いてしまった。
どうしたんだろう。
どうしてこの人はこうも情緒不安定なの?
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扇子(プロフ) - みさん» いえいえ!こちらこそ読んでいただきありがとうございます!これからも更新頑張りますね☺️ (2022年6月26日 1時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
み - 更新してくださりありがとうございます! (2022年6月25日 0時) (レス) @page47 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - ゆゆさん» わ!ありがとうございます!!嬉しいです☺️ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - おもしろすぎて最高です! (2022年6月3日 1時) (レス) @page41 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - みつきさん» わ〜!!ありがとうございます!!嬉しいです☺️これからも楽しんでいただけるように頑張りますね!! (2022年6月2日 22時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:扇子 | 作成日時:2022年5月19日 18時