1.プロローグ ページ1
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日光が差して暖かい私だけの空間
本来は穏やかであるはずだった一人暮らしの部屋に、ひたすら騒がしい男の声が響き渡っていた。
「あ!クソっ!なんで動かないんだよ!」
週末の昼間からよくやるな…
ジタバタ暴れる彼を横目にそんなことを考える。
私もごく稀にゲームをするけど、これはちょっとのめり込みすぎなんじゃない?
「ダメだって!ここでお前が行かなきゃ俺は!!」
涙ぐましいその叫びは天に届くことがなかったのか、ゲーミングモニターには"lose"の4文字が表示された。
「クソっ!負けた!!誰のせいだよ!!」
鬱憤を晴らす彼を見届ける義理はなかったので、コンビニにでも行こうと立ち上がった私はドアへ向かった。
ちょうどドアを開けた瞬間、背後から威勢のよい声が聞こえてくる。
「ねえ!A!どこ行くの!」
「コンビニ。昼ごはんでも買おうと思って」
「俺のも!カップラーメンとおにぎりとチキンとコーラ、あとクッキーとアイスも!」
「…マジで言ってる?お金は?」
「あ〜、お金?あるよ!もちろん!」
そう言うなり着ていたパーカーのポケットに手を突っ込んんだ彼は、自信満々に何かを取りだし笑みを浮かべた。
親指と人差し指を交差させハートの形を連想させるジェスチャー…
いっそ清々しいくらいの図々しさだ。
「…君がこんな人間だって学校のみんなは知ってるのかな?」
「知るわけないじゃん!俺のこんな姿はAしか知らないよ〜!Aの特権!」
表情の死んだ私を見て、楽しそうに笑う
キムジュンギュを後にして私はコンビニに向かった。
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扇子(プロフ) - みさん» いえいえ!こちらこそ読んでいただきありがとうございます!これからも更新頑張りますね☺️ (2022年6月26日 1時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
み - 更新してくださりありがとうございます! (2022年6月25日 0時) (レス) @page47 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - ゆゆさん» わ!ありがとうございます!!嬉しいです☺️ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - おもしろすぎて最高です! (2022年6月3日 1時) (レス) @page41 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - みつきさん» わ〜!!ありがとうございます!!嬉しいです☺️これからも楽しんでいただけるように頑張りますね!! (2022年6月2日 22時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:扇子 | 作成日時:2022年5月19日 18時