冬の証 ~ winter lover ~ (ページ3)

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思ったよりセット時間かかっちゃったなー……。

急いで美容院を出て会場へ向かう。

この間秋が来たと思っていたのに

知らぬ間に季節は冬になっていて。

キンとした冷たい空気が夜になるとより一層冷たさを増す。

少し小走りで人混みの中を通り抜けていると

視界に小さな白いものが

ひとつ、またひとつと落ちていった。

「あれ、初雪だぁ～」

隣を歩く腕を組んだカップルが嬉しそうにつぶやいた。

思わず立ち止まって黒い空を見上げる。

ふーっと吐く息が白く映って、

ちらちらと小さな粉雪が顔の上に降ってきた。

初雪……。

何年経っても初雪の日だけはやっぱり特別。

大人になって環境も変わったし、

見えることや考えることも変わったけど、

初雪を見るといつだって

あの頃の気持ちに戻ってしまう。

いけない。急いでるんだった。

前を向いて歩き出した瞬間、

周りを歩く大勢の人達が一瞬止まって

私の目は一点に釘付けになった。

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