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「2年前、大野に招待された子供向けのイベントに、姪を連れて行ったんだ。恥ずかしながら仕事の関係者につかまって、気づいたら姪は見当たらなくて。」
2年前、子供向けのイベント、吉川さんの口にする単語を連想すると、一つだけ思い当たったことがある。
小さい女の子、絆創膏と、ハンカチと、髪飾り。
「見つけたとき、姪は転んでけがをしてしまっていて、会場スタッフの一人が、植え込みの淵にハンカチを敷いて、座らせて手当てをしてあげていた。崩れた髪まで整えて、『特別ね』って髪飾りをつけてあげてた」
決して、暇だったわけじゃなかった。だけど、あの場にいる人にどうしても楽しんでもらいたくて、彼女を笑顔にするためにやったことだった。
「その人の優しさに惹かれたんだ。姪に、『もう大丈夫』って笑いかけるその姿が、ずっと心に残ってた」
重なった手に、力がこもる。
「あの時からずっと、あなたに心を奪われていた」
そののち、1年ほどたって御曹司さんの会社で同じエレベーターに乗って、私の名前を知ったらしい。
「噂には聞いてたんだ、大野の会社の営業部長直属の組織。やり手の集まりだって」
『そんな、』
「知ってるよ？君は、情報処理のエキスパート、かつ笑顔でどんな重鎮をも懐柔する、って」
『、』
「まさか、と思った。もっと冷血でしたたかな女性だと思っていたから」
そりゃそうだ。それだけちぐはぐな情報だけ聞いたら、誰だって思う。
「実際の君は愛想笑いなんてしない、ちょうどよく気が遣えて、思いやりのある、あの日見たままだった」
僕には、幸い結婚願望がなくて。だけど君になら一生をかけて尽くしたいと思う。
そう言って、
「さ、ディナーにしようか」
『、』
ふっ、と笑って手を離した。
「まぁ、今回は諦めるけど、気がかわったらいつでも入籍できるからね？」
『(苦笑)』
「ほんとなんだけど」
夜道、春だけど少し冷たい風が吹く。
ふわふわと桜並木の下を、吉川さんと二人で歩いてた。
『きれい、』
「ん、」
月明かりに照らされて、桜の花びらが幻想的に宙を舞う。
「、」
『ふふ、』
見て、と吉川さんに、手のひらに落ちた花弁を見せようとしたら、
「え、あぁうん、」
『？』
見るからに挙動不審。
え？って思ってその視線の合った場所を見ると、
『、』
道の向こう側、部長と、誰かわからないけど男の人が歩いてた。
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あきんこ(プロフ) - みいさん» 初めまして、ありがとうございます(*´▽｀*)/これからも楽しんでいただけるよう精進してまいりますので、よろしくお願いいたします！ (2020年1月5日 20時) (
レス) id: 27a3d26bce (このIDを非表示/違反報告)
みい - はじめまして。読みやすい文章で、とても楽しく読ませていただいております。これからも頑張ってください！ (2020年1月4日 23時) (レス) id: 68fc344d1d (このIDを非表示/違反報告)
あきんこ(プロフ) - あまさん» コメントありがとうございます！両方一緒に読んでいただけてとても嬉しいです、頑張ります( *´艸｀)よろしくお願いします！ (2020年1月3日 23時) (レス) id: 27a3d26bce (このIDを非表示/違反報告)
あま - 更新お疲れ様です!!!Lightの方と同時に楽しみにしてます!これからも頑張ってください!!! (2019年12月30日 22時) (レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきんこ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=akinko0125
作成日時：2019年12月25日 11時
