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Dクラスも先輩研究員も、もう誰もいない。助けは呼べない。目を離してしまえば最後、次は私の番だ。それでも瞼はもう限界だった。涙で滲んで、あの石像が見えなくなってくる。…私、死ぬんだ。
「いやああああぁぁっ！！」
ごりごりという音が聞こえて、わたしは――。
「はい、そこまでー」
聞こえるはずのない、良く通る声。何が起こったかわからずに、ただ怖くて顔を向けられない。
「A、ロボロが来たからもう安心やで」
どうしてロボロがここに？大丈夫って、どういうことだろう？わからない、わからないけれど、顔を上げた。目の前にあの石像がいて、思わず悲鳴を上げたけれど、動く気配がない。
「…私、生きて……」
「ん、今のうちに皆に知らせぇ？俺が見とる間、コイツは悪さできへんから」
その言葉にはっ、と気が付いた。ロボロの目は瞬きなど必要ないと言わんばかりに、SCP-173をじっと睨み付けていた。
それから、先輩や鎮圧部隊もやってきたが、ロボロの助けによりあっさりと石像は再収容された。あの石像にとって、ロボロは唯一の天敵だったのだ。私はというと、あの出来事を実験記録として纏め、正式にSCP-173の担当研究員になった。まだ少し恐怖はあるけれど、ロボロがいつも着いてきてくれた。
「ロボロ、あの時どうして来てくれたの？」
「おん？ああ、行けばAが怒られる思うて迷ったんやけど、それよりアイツのがヤバかったから…もうちょい、はよ行っとったら他のやつも助けられたんやけど…」
「ううん、ロボロのせいじゃないよ」
あの一件で、自分の考えがいかに甘かったかを思い知らされた。あれから新規で収容されたオブジェクトには、慎重に慎重をかさねて常に懐疑の目を向けた。けれどロボロとのこの関係は、オブジェクトを通り越して本物だ。そうだと信じている。
「A、今日もアイツんとこ行くんやろ？俺がボディーガードや！」
「それは頼もしいなぁ」
「ふふん、ほな行こか」
今日も私たちは、ここで研究を続ける。
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この作品はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンスに基づき作成されています。
SCP-131 - "アイポッド"
著者: 不明
URL: http://scp-jp.wikidot.com/scp-131
作成年: 不明
Title: SCP-173 - 彫刻 - オリジナル
著者: Moto42
URL: http://scp-jp.wikidot.com/scp-173
作成年: 2007年
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作者名：ジャック | 作成日時：2023年6月14日 0時
